1980 年 22 巻 5 号 p. 690-694_1
53歳男性で潰瘍性大腸炎類似のX線像を示した大腸結核症を報告した. X線的には,下行結腸より盲腸までは病変は連続性で,び慢性に潰瘍形成と炎症性ポリープ像が認められた.しかしS-D移行部では,病変はskipしており,潰瘍間には健常な粘膜像もみうけられた.内視鏡的には,S-D移行部では,比較的深い,輪状傾向をもつ潰瘍が健常粘膜をはさんで存在し,散在性に炎症性ポリープも認められた. 生検組織診では乾酪性肉芽腫はえられず,糞便結核菌培養も陰性であったが,潰瘍底からの生検材料の結核菌培養で結核菌を証明し,確定診断を得た. 最後に,大腸結核の確定診断には,内視鏡下の生検材料の結核菌培養が有効であることを付記した.