日本消化器内視鏡学会雑誌
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腸リンパ管拡張症を伴った陳旧性腸リンパ節結核の1例
布出 泰紀正宗 研渡部 重則松本 恒司大柴 三郎
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1980 年 22 巻 8 号 p. 1097-1100_1

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抄録
 腸リンパ管拡張症を合併した陳旧性腸リンパ節結核の1例を報告する.患者は33歳女性,主訴は全身倦怠感と両下肢の浮腫.既往歴:12歳頸部リンパ節結核,29歳急性肝炎,入院時は理学的に心肺異常なく,肝脾を触知せず,両下肢に浮腫を認める.主な検査成績は赤血球354万/mm3,Hb9.89/dl,白血球2500/mm3,血清総蛋白量5.09/dl,alb.2.29/dl,131I-PVP5.4%,腹部単純X線写真で,腰椎に沿い多数の石灰化陰影,小腸X線検査でkerckring皺襞の肥厚と分泌過多像,小腸内視鏡検査で十_.指腸に多数の白斑を認める.小腸生検標本で絨毛は軽度棍棒状で,その中に著明に拡張した乳麋管を認め,その内容物が脂肪滴であることをsudan IIIで確認した.この所見は腸リンパ管拡張症の組織所見と一致する.なおリンパ管造影では異常を認めない,腸リンパ管拡張症を示した陳旧性腸リンパ節結核は,わが国では内山の報告(1970年)のみであり,極めて稀な疾患である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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