日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡による実験肝癌発生過程に関する研究―第1報―
沼 義則安藤 啓次郎坪田 若子宮崎 正子松田 彰史森本 哲雄佐々木 まゆみ渡辺 精四郎福本 陽平名和田 順介児玉 隆浩沖田 極竹本 忠良
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1980 年 22 巻 9 号 p. 1222-1226_1

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抄録
 発癌過程における肝癌発生に特徴的な肝表面の変化を検討するため,0.6%3'-Me-DAB発癌ラットの肝表面を経時的に細径ファイバースコープ(MACHIDA.ENT-US-30)で腹腔鏡下に観察した・4週目頃より肝表面に散在性に発赤点が出現し,組織学的に肝細胞壊死,炎症細胞浸潤が認められた.7週目になると発赤は拡大し,肝辺縁で細血管の増生と思われる所見が認められた.組織像では,壊死巣はまったく認められず,hyper-Plastic fociの出現が認められた.9~13週ではその発赤部は周囲より明瞭となり,軽度の凹凸が認められ,ヒトの腹腔鏡所見でいえば"斑紋肝"様の所見を示しており,組織像ではhyperplastic noduleが認められた.以上のことより,hyperplastic noduleはその斑紋部より形成される可能性を示唆する所見を得た.またわれわれの方法は,同一ラットにおける同一病変を経時的に観察することが可能であった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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