-
熊田 卓, 綿引 元, 中野 哲, 北村 公男, 武田 功, 井本 正己, 小沢 洋
1980 年 22 巻 9 号 p.
1169-1179_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/20
ジャーナル
フリー
当院において1973年1月から1978年6月迄の間に経験した出血性胃潰蕩192例につき,緊急内視鏡所見を中心として検討した.1)潰瘍底に露出血管が確認された例(I群)44例中31例70.5%が緊急手術となった.特に潰瘍底の長径が2cm以上の例は全例手術となった.2)潰瘍底に凝血または新鮮血の認められる群(II群)のうち,待期手術を除いた81例では27例33.3%が緊急手術となった.このうち胃内に凝血または新鮮血が認められる例で潰瘍底に凝血または新鮮血が全面に付着している群(1-A群)では16例中7例43.6%に,潰瘍底の一部に凝血または新鮮血が一塊となり付着している群(II-B群)では18例中15例83.3%に緊急手術が行なわれた.3)潰瘍底に凝血も血管も認められない群(III群)では55例中3例5.4%が手術されたにすぎなかった.以上から出血性胃潰瘍に対する緊急内視鏡検査は胃内または潰瘍底の性状を詳細に観察することで,患者の予後及び治療方針決定に重要な情報を提供するものと考える.
抄録全体を表示
-
―特に非潰瘍性所見の診断学的意義について―
谷村 繁雄, 吉田 茂昭, 吉森 正喜, 小黒 八七郎, 広田 映五
1980 年 22 巻 9 号 p.
1180-1188
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
陥凹型胃癌の経過観察例のうち,早期癌33例,進行癌27例の計60例を対象とし,初期像及びその経過について検討した.初期病変像は,(1)潰瘍群,(2)非潰瘍群,(3)n.p群,(4)見逃し群の4群に大別された.早期癌例では,その先行病変の大部分が潰瘍群に相当し,かっこれらの出現頻度は観察期間に逆比例して増加した.これに対し進行癌では非潰瘍群が主体を占め,観察期間との間にも明確な相関は認められなかった.この事は,陥凹型早期胃癌の診断指標が潰瘍所見を中心に行なわれているため非潰瘍所見は容易に見逃され,進行胃癌となってはじめて発見されている事を示唆するものであった.今後の胃癌における早期診断指標としては,非潰瘍所見,即ち胃炎類似の像を示す発赤像,微細顆粒・結節像,粘膜パターンの異常像などが極めて重要であり,またこれらの診断学的意義は極めて高いものと思われた.
抄録全体を表示
-
岡 裕爾, 吉田 茂昭, 小黒 八七郎, 吉森 正喜, 平嶋 登志夫, 中村 耕三, 板橋 正幸, 広田 映五
1980 年 22 巻 9 号 p.
1189-1203
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
進行胃癌患者の自然経過観察例,術前化学療法施行例,手術不能化学療法施行例についてそれぞれ経時的に内視鏡検査を行ない,その内視鏡像の変化と,得られた胃生検と切除胃の病理組織学的所見をあわせて比較検討した. 化学療法を行なっている胃癌患者では,その胃内視鏡像に化学療法による各種の変化が認められることを明ら 認められた変化のうち,隆起の平低化,陥凹の浅薄化,凹凸の平滑化,陥凹底の均一無構造化,辺縁の不鮮明化,陥凹内外の均一な発赤の出現,伸展性の回復は化学療法の有効性を示す所見であり,これらの所見が2つ以上認められれば,大きさの縮少を伴わなくとも化学療法は有効であると判定できた. これらの成績に基づき,胃癌化学療法の内視鏡像による効果判定基準として,悪化,不変,改善GradeI改善GradeI,改善GradeIIIからなる基準を提唱した.
抄録全体を表示
-
森下 鉄夫, 朝倉 均, 神谷 利明, 三浦 総一郎, 神谷 知至, 土屋 雅春
1980 年 22 巻 9 号 p.
1204-1211
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
総胆管拡張の成因として胆・膵管合流異常が注目されてきた.しかし合流異常が総胆管拡張の全てにはみられず,時には他疾患にもみられることも知られ始めている.症例1は65歳女性,主訴は嘔吐,総胆管は結石を伴い嚢腫状拡張を呈した.症例2は55歳女性,主訴は右季肋部痛,総胆管は円筒状拡張を呈した.ERCPにてともに胆.膵管合流異常はなく,十二指腸憩室内副乳頭が明らかにされた.総胆管拡張の成因として前腸とくに十二指腸・総胆管壁の先天的・局所的脆弱性や副乳頭~Vater乳頭に及ぶ十二指腸・総胆管の慢性炎症性変化も示唆される.十二指腸憩室内副乳頭の報告は極めて少く,今後ERCPを用い副乳頭を視点とした検討が胆・膵管系の病態解明に役立っと考える.
抄録全体を表示
-
酒井 秀朗, 吉田 行雄, 関 秀一, 古杉 譲, 野上 和加博, 堀口 正彦, 田中 昌宏, 井戸 健一, 木村 健
1980 年 22 巻 9 号 p.
1213-1221_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
3年来,われわれは,内視鏡的乳頭切開術を施行した患者を対象に,経口的胆道鏡の開発を行なっている.胆道鏡の開発に際し,われわれの最大の関心は如何にして胆道鏡を総胆管に挿入するかであり,この目的の達成のために,胆道鏡本体の試作と改良はもとより,本体Scopeの挿入を容易にする補助装置(balloon catheter内誘導管,外誘導管)の開発も行い,開発第V期において,最も来効な胆導鏡の挿入法を確立した.この方法の特徴は,外誘導管を総胆管に留置することにあり,外誘導管を通してScopeは勿論,種々鉗子装置(バスケット鉗子,ワニ口鉗子等)の挿入抜去が簡単に,しかも,反復して行えることにある.この方法により,われわれは3例の胆内結石を補獲した.
抄録全体を表示
-
沼 義則, 安藤 啓次郎, 坪田 若子, 宮崎 正子, 松田 彰史, 森本 哲雄, 佐々木 まゆみ, 渡辺 精四郎, 福本 陽平, 名和田 ...
1980 年 22 巻 9 号 p.
1222-1226_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
発癌過程における肝癌発生に特徴的な肝表面の変化を検討するため,0.6%3'-Me-DAB発癌ラットの肝表面を経時的に細径ファイバースコープ(MACHIDA.ENT-US-30)で腹腔鏡下に観察した・4週目頃より肝表面に散在性に発赤点が出現し,組織学的に肝細胞壊死,炎症細胞浸潤が認められた.7週目になると発赤は拡大し,肝辺縁で細血管の増生と思われる所見が認められた.組織像では,壊死巣はまったく認められず,hyper-Plastic fociの出現が認められた.9~13週ではその発赤部は周囲より明瞭となり,軽度の凹凸が認められ,ヒトの腹腔鏡所見でいえば"斑紋肝"様の所見を示しており,組織像ではhyperplastic noduleが認められた.以上のことより,hyperplastic noduleはその斑紋部より形成される可能性を示唆する所見を得た.またわれわれの方法は,同一ラットにおける同一病変を経時的に観察することが可能であった.
抄録全体を表示
-
―本体の硬さ,屈撓性,弾性の影響について―
丹羽 寛文, 木村 正儀, 三木 一正, 平山 洋二, 池田 昌弘, 張 景明, 半井 英夫
1980 年 22 巻 9 号 p.
1227-1232
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
大腸ファイバースコープの深部挿入の難易には,スコープ本体の硬度,屈撓性,弾性などが関連する.大腸ファイバースコープの深部挿入には,レ線透視下に必要に応じスライディングチューブなどの補助器具を用いるのが一般的である.しかし本検査の望ましいあり方としては,無透視でかつ補助器具なく実施することである.本体の硬度,屈撓性,弾性をどのようにしたら最も容易に深部挿入が行えるか,これらの要素を種々変えた改造機種を作製し,臨床例でその挿入状況を検討した.もちろん対象とした腸管の個人差,術者のスコープ操作の慣れ等の問題もあるが,S状結腸・下行結腸移行部の通過に関しては,先端を軟かく基部を硬くした機種が良好な成績を示したが,先端を硬くした機種では,この部の通過に時間を要するものが多かった.横行結腸から右結腸曲の通過に関しては,3段階にこれらの要素を変化させた機種,並びに2段階に先端部に比べて基部を比較的硬くした機種が最も容易であった.しかし2段階でも,基部を比較的軟かくしたもの,並びに先端硬度が比較的強いものでは,深部への挿入はこれらより劣った.以上より最も理想的な大腸ファイバースコープは,先端20cmを特に軟かく,それに続く20cmをそれより硬く,更に40cm以遠を一層硬くした機種と思われるが,2段階の変化でも,基部を硬くしたものであれば良好な挿入成績を得られることが判明した.
抄録全体を表示
-
河村 奨, 富士 匡, 清水 道彦, 有山 重美, 東 光生, 前谷 昇, 播磨 一雄, 川嶋 正男, 永冨 裕二, 森戸 正俊, 榊 信広 ...
1980 年 22 巻 9 号 p.
1233-1239_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
内視鏡検査によって確定診断された十二指腸潰瘍360例のうち,潰瘍の病歴がよく把握されている101例を検査対象とした.十二指腸潰瘍の経過と,胃粘膜変化との関連を明らかにするために,十二指腸内視鏡検査,内視鏡的コンゴーレッド法,胃生検,胃液検査を行い,次の結果を得た.1)十二指腸潰瘍長期観察52例において,5年毎(5年,5~10年,10年以上)の期間で再発の有無を検討してみると,各々約70%に再発がみられた.2)簡易内視鏡的コンゴーレッド法の有効性を組織学的に検討したが,胃粘膜萎縮の高度でない十二指腸潰瘍症例では,その有効性が証明された.3)十二指腸潰瘍症例において,内視鏡的萎縮境界が上昇している症例においても,胃底腺域の粘膜萎縮は軽度であった.4)十二指腸潰瘍再発群における萎縮パターンC-1,C-2群は90%と,非再発群に比べ高値を示した.それに反し非再発群の萎縮パターンであるOpen typeは33%と再発群によりも高値を示した.5)十二指腸潰瘍再発群では,非再発群に比べBAO,BAO/MAOが有意に高値を示した,
抄録全体を表示
-
大下 芳人, 岡崎 幸紀, 河村 奨, 竹本 忠良, 田辺 満彦, 篠山 哲郎, 長井 謙造, 林 謹也
1980 年 22 巻 9 号 p.
1240-1245
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
水浸ストレスが一因と考えられる,急性胃・十二指腸病変の1例を報告した. 患者は33歳の男性で,冬季の海上および海中での作業中,急激な心窩部痛を訴えて来院した.胃X線検査ならびに内視鏡検査で,胃前庭部に広範な潰瘍性病変を認め,同時に十二指腸球部から球部後にかけても浅い潰瘍性病変が認められた.これらの病変は10日後の,内視鏡像では,胃前底部の前後壁に小潰瘍を残し,十二指腸には軽度のすう襞集中および変形をともなった発赤を認めるのみとなった. 急性胃病変の実験モデルである水浸拘束ラットに類似した条件下での急性胃・十二指腸病変の発生という興味ある症例であり,急性胃・十二指腸病変の発現機序の解明に示唆を与えるケースと考えた.
抄録全体を表示
-
菅 大三, 菅 真美, 村田 欣也, 三嶋 登志男, 大西 博三, 田中 忠良, 河原 清博, 岡崎 幸紀, 西村 秀男, 西岡 幹夫, 竹 ...
1980 年 22 巻 9 号 p.
1247-1251_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
78歳の女性の微小早期食道癌の1切除症例を報告した.切歯より25cmの中部食道に発生した大きさ4×6mmの表在隆起型の食道癌であり,深達度はmmであった.
抄録全体を表示
-
草間 次郎, 飯田 太
1980 年 22 巻 9 号 p.
1252-1257
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
特発性血小板減少性紫斑病で,皮膚,口腔粘膜,鼻粘膜等には出血斑を全く認めず,胃粘膜にのみ出血斑を認めた1例について内視鏡的に経過を追跡した症例を報告した. 38歳の男性で家族歴および既往歴に特別な事項はみられなかった.末梢血の血小板数は48,000で,骨髄像で血小板を伴わない巨核球の増加を認め,出血時問はや丶延長していた.内視鏡所見では胃底腺領域に不整形の小出血斑が無数に認められ,幽門腺領域および食道,十二指腸粘膜は全く正常であった.この胃粘膜の出血斑は経過中に一度増悪したが,安静と粘膜保護剤の投与により軽快した.その後,特発性血小板減少性紫斑病に対する特別な治療を行わなかったが,出血斑は次第に軽快しつゝある.
抄録全体を表示
-
松本 恒司, 平田 一郎, 岩越 一彦, 水田 静雄, 渡部 重則, 三浦 信義, 山本 克夫, 田村 廸紀, 正宗 研, 大柴 三郎
1980 年 22 巻 9 号 p.
1258-1263_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
胃結核は稀な疾患で,本邦報告例は百余例を数えるに過ぎない.診断が困難なことより,胃癌,胃潰瘍,粘膜下腫瘍などの診断のもとに手術されて初めて診断を得ることが多い.直視下生検の進歩にもかかわらず,生検によって確診を得たものは数例に過ぎない.治療も,ほとんどの場合,胃切除が行なわれており,内科的にのみ治療されたものは,著者らの調べ得た限りでは,2例に過ぎない.著者らは,全身性結核症の患者の噴門部に潰瘍を認めたため,当初から胃結核症を疑がい直視下生検によって,病理組織学的に,結核性潰瘍の確診を得た症例を経験した.治療はKM,INAH,EBなどの内科的治療を行ない,内視鏡的に,治療開始2か月後には,潰瘍の縮少を認め,3か月後には,潰瘍は,S1 stageの胃潰瘍瘢痕像としてみられた.以後2年間の経過観察を行なったが,再発をみていない.著者らは,内視鏡的経過を示すとともに,若干の文献的考察を加え報告した.
抄録全体を表示
-
佐藤 幸示, 加藤 俊幸, 丹羽 正之, 斉藤 征史, 筒井 一哉, 小越 和栄, 佐野 宗明, 鈴木 正武
1980 年 22 巻 9 号 p.
1264-1273
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
多発性の粘膜下腫瘍で発見された極めて興味ある胃カルチノイドの1例を経験した. 症例は58歳の主婦,8年前心肥大にて,4年前より腹部膨満感を来し加療していた.56歳時に胃集検で胃ポリープ症とされ,当科に紹介された.多発性胃ポリープ症として外来で観察し,約1年後の3回目の生検にて胃カルチノイドが疑われた.内視鏡的に切除した標本が主に粘膜下に発育した腫瘍で,特徴的な組織像を示し確診した.グリメウス陽性で電顕で内分泌顆粒を認めた.粘膜下腫瘍は胃体部にあり肉眼的にも19個を数え,本邦最多であった.multicenricか否かは興味深いがその証拠は得られていない.肝転移を伴っていたが,転移を有するカルチノイドとして本邦で最小であり最大径のもので1cmであった.またカルチノイド心としては稀な左心系の僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症を伴っていた. 血中,尿中のアミンはいつれも正常範囲内であった.
抄録全体を表示
-
曾和 融生, 吉川 和彦, 松沢 博, 三木 篤志, 冬広 雄一, 深水 昭, 藤本 泰久, 中尾 昭治, 高井 敏昭, 鄭 容錫, 北村 ...
1980 年 22 巻 9 号 p.
1275-1281_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
68歳女性で6ヵ月前より腹部異和感を認め来院す.食欲不振,体重減少等の自覚症状はみられなかった.臨床血液検査成績では便の潜血反応が陽性であった以外著変は認めなかった・胃腸透視所見では胃体部に大きな腫瘤陰影とその表面にsoup bubble陰影が認められた.胃内視鏡検査では胃角部から胃体部にかけて隆起性病変幽門輪近旁にerosion像がみられた. 摘出標本所見では11.0×8.5×3.5cm大の柔かい広基性の隆起性潰瘍で,その表面にvillous様に深い亀裂を認め,胃体部小彎側に占居していた.病理組織所見では幽門部の病変はIIb+IIc型,深達度m,signet ring cell carcinomaが認められた.胃体部に占居する大きな隆起病変はvillous patternを示すvillous adenomaであった.以上の症例を中心に若干の文献的考察を加えて報告した.
抄録全体を表示
-
神谷 利明, 森下 鉄夫, 尾仲 章男, 三浦 総一郎, 高木 俊和, 朝倉 均, 土屋 雅春
1980 年 22 巻 9 号 p.
1282-1286_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
症例は69歳男性,右季肋部痛と吐血を主訴として入院.黒色便も呈し,入院24時間後に緊急内視鏡を施行した.食道・胃・十二指腸球部には異常所見を認めなかったが,Vater乳頭は腫大し,著しい発赤・一部出血を伴い,さらに下行脚部全体に散在性の発赤・出血を伴ったびらんがみられ,病理組織学的にも確認した. 十二指腸下行脚部急性出血性びらんの報告は極めて少ない.特に本症例のごとく急性期に内視鏡的・病理組織学的に確認し得た症例はほとんどなく,十二指腸の病態解明に価値あると考え報告した. なお,本症例は腎機能障害を伴っており,出血性びらんの成因につき若千の検討を行った.
抄録全体を表示
-
前川 平, 依岡 省三, 本井 重博, 下野 道広, 須藤 洋昌, 小林 顕彦, 郡 大裕, 中島 正継, 川井 啓市
1980 年 22 巻 9 号 p.
1287-1295
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
25歳,主婦,1977年Gardner症候群の臨床診断のもとに,結腸亜全摘,盲腸直腸吻合術をうけた.1979年1月頃より右季肋部痛及び心窩部痛を認めるようになり,血清・尿アミラーゼ値の上昇を認めていたため,精査目的にて1979年2月当科に再入院した. 内視鏡的逆行性膵胆管造影にて,総胆管開口部付近に陰影欠損を認めた.Vater乳頭はやや腫大しており,開口部は若干開大し,その奥に腫瘍性病変の存在が疑われたため,その組織所見の確認と,腫瘍の発育による胆道閉塞を予防する目的で内視鏡的乳頭切開術を施行し,総胆管に存在する直径8×6mmの隆起性病変を内視鏡的に観察することに成功するとともに,直視下生検で良性の腺腫であることを確認した. 総胆管の腺腫性ポリープを伴った家族性大腸腺腫症の1例を報告し,若干の文献的考察を加えた.
抄録全体を表示
-
喜田 剛, 田島 強, 山辺 恭司, 福田 能啓, 前田 栄昭, 久保 明良
1980 年 22 巻 9 号 p.
1296-1301
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
S状結腸に限局した腸管嚢腫様気腫(PCI)患者に外来にて酸素吸入療法を試み・改善がえられたので報告した. 患者は67歳男性で,昭和53年6月初旬,排便回数がそれまでの1日1回から3,4回とふえ・また気泡・粘液,血液を混じた軟便となり,同年8月7日当院を初診した. 腹部単純X線像,注腸X線像,大腸内視鏡検査でS状結腸のPCIと診断し,昭和54年4月から8月まで外来にて計8回の酸素吸入療法を行い著明な改善をえた. PCIは稀な疾患であるが,この疾患の知識があれば診断は容易であり,正しく診断することにより不必要な外科手術を避けることができ,酸素吸入療法を中心とする内科的治療で治癒せしめうる点を強調した.また従来報告されてきた入院の上での持続的酸素吸入療法のみでなく,外来での間歇的酸素吸入療法も試みる価値があると思われた.
抄録全体を表示
-
種広 健治, 春日井 達造, 久野 信義, 栗本 組子, 伊藤 克昭, 杉原 康弘, 梅田 芳美
1980 年 22 巻 9 号 p.
1303-1307_1
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
4種類の広視野角ファイバースコープを使用し,それらの観察性,操作性,ERCPの成績を検討した.広視野角ファイバースコープは優れた観察性と操作性をもち,一般胃・十二指腸内視鏡としても満足すべきものであった.ERCPなど近接して細かい操作を行なう場合には,超広視野角スコープ.より75度ないし80度前後の広視野角をそなえたスコープが使い易いと思われる.観察方向については,一般的には側視式スコープが使い易いと考えられたが,選択的胆管造影には後方斜視式広視野角スコープも便利な機種であった.ERCPの成功率は4機種の間に差はなかったが,従来報告されてきた成績と比較すると同等かやや優れていた.
抄録全体を表示
-
佐高 マリオ
1980 年 22 巻 9 号 p.
1308-1310
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1980 年 22 巻 9 号 p.
1312-1325
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1980 年 22 巻 9 号 p.
1325-1326
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1980 年 22 巻 9 号 p.
1326-1328
発行日: 1980/09/20
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー
-
1980 年 22 巻 9 号 p.
1328
発行日: 1980年
公開日: 2011/05/09
ジャーナル
フリー