日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸ファイバースコープ機構の検討
―本体の硬さ,屈撓性,弾性の影響について―
丹羽 寛文木村 正儀三木 一正平山 洋二池田 昌弘張 景明半井 英夫
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1980 年 22 巻 9 号 p. 1227-1232

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抄録
 大腸ファイバースコープの深部挿入の難易には,スコープ本体の硬度,屈撓性,弾性などが関連する.大腸ファイバースコープの深部挿入には,レ線透視下に必要に応じスライディングチューブなどの補助器具を用いるのが一般的である.しかし本検査の望ましいあり方としては,無透視でかつ補助器具なく実施することである.本体の硬度,屈撓性,弾性をどのようにしたら最も容易に深部挿入が行えるか,これらの要素を種々変えた改造機種を作製し,臨床例でその挿入状況を検討した.もちろん対象とした腸管の個人差,術者のスコープ操作の慣れ等の問題もあるが,S状結腸・下行結腸移行部の通過に関しては,先端を軟かく基部を硬くした機種が良好な成績を示したが,先端を硬くした機種では,この部の通過に時間を要するものが多かった.横行結腸から右結腸曲の通過に関しては,3段階にこれらの要素を変化させた機種,並びに2段階に先端部に比べて基部を比較的硬くした機種が最も容易であった.しかし2段階でも,基部を比較的軟かくしたもの,並びに先端硬度が比較的強いものでは,深部への挿入はこれらより劣った.以上より最も理想的な大腸ファイバースコープは,先端20cmを特に軟かく,それに続く20cmをそれより硬く,更に40cm以遠を一層硬くした機種と思われるが,2段階の変化でも,基部を硬くしたものであれば良好な挿入成績を得られることが判明した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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