抄録
ERCPにて胆管像の得られた慢性膵炎確診60例を対象に慢性膵炎における胆管狭窄像の臨床的意義について検討した.慢性膵炎60例中,胆管狭窄像は18例30%にみられた.そのパターンは,(1)硬化直線型,(2)管状狭窄型,(3)限局性狭窄型,(4)硬化先細り型に分類され,管状狭窄型はアルコール性膵炎に,また硬化先細り型は胆石性膵炎に比較的特徴的であった.胆管狭窄群は非狭窄群に比して,膵外分泌機能障害が高度な傾向にあり,また肝機能検査では閉塞性黄疽のパターンを示すものが多かったが,顕性黄疸を呈したものは半数にすぎなかった膵癌と慢性膵炎との鑑別においても胆管狭窄像が有用で,狭窄部の不整,閉塞像が膵癌にかなり特徴的であったさらに,膵管像だけからは高度異常と読影し得ない例にも胆管狭窄がみられる場合があり,このような場合には,特に胆管所見に注目することが重要であることを強調したい.