日本消化器内視鏡学会雑誌
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細径大腸ファイバースコープCF-PM(O1ympus)の応用に関する臨床的研究―左半結腸のスクリーニングのための有用性―
渡辺 能行梶原 譲魚住 玄通小山 邦彦川井 啓市多田 正大任 書煌奥田 宗久島本 和彦
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1981 年 23 巻 11 号 p. 1543-1547

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抄録
近年,増加の傾向にある大腸癌の早期発見のため,大腸癌検診の確立が急務である.この目的のため,軟性部径が8.8mmである細径の試作・集検用大腸fiberscope CF-PM (Olympus)を用いて,人間ドック受診者及び外来患者212例に対して下部大腸検診を行った.前処置はグリセリン浣腸のみで行ったが観察目的部位の腸管の糞便は,ほぼ清浄化されていた.挿入成績は, S状結腸・下行結腸移行部まで全例挿入され,結腸脾彎山部までは82%が挿入された,検査時閻は平均4.6分であった.検査時の被験者の苦痛は,全くなかったのが22%,ほとんどなかったのが70%で,大多数において,あまり苦痛もなく検査ができ,従来のsigmoidofiberscopeよりも広い範囲の大腸の内視鏡検査を行ったにもかかわらず苦痛の少ない傾向がみられた.以上の成績より,CF-PMは短時間で下部大腸を含めた左半結腸の内視鏡観察ができ,大腸癌のスクリーニングに有用な器種といえる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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