日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
23 巻, 11 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 加藤 修, 鈴木 孝, 館野 文美雄, 湯浅 友代, 服部 和彦
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1511-1516
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃ポリペクトミーの有用性について,術後のfollow-up studyからみて検討した.対象としたポリープは101個で88症例であったが,真にポリペクトミーが有効であったと考えられたものは,組織学的に異型上皮であった大きなポリーフプからの慢性出血により貧血を来たしていた1例,旁幽門洞に発生した巨大な脂肪腫による軽度の幽門狭窄症状を呈した1例および異型上皮の1部にfocal carcinomaのあった3例に過ぎなかった.術後1年以上経た後に観察した25症例のうち,3例に茎の遺残を認め,1例に同部位よりのポリープの再発,1例に他部位にポリープの新生をみた.これらのことから,胃ポリペクトミーは総生検としての意義および治療としての意義はあるが,必ずしも全例に根治術が期待できるわけではないと考えた.
  • 伊藤 克昭, 杉浦 弘, 平岡 義章, 加納 知之, 春日井 達造
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1517-1529
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     国産Nd:YAGレーザーの内視鏡的応用に関して,雑種成犬を用いた基礎的検討実施後,臨床応用の一環として胃腫瘍に対するレーザー治療の臨床的検討を行った.臨床治験は隆起性病変のみならず陥凹性病変に対しても試みた. 治験例は17例19病変でその内訳は生検診断Group IIIの胃隆起病変(Borderline lesion)9病変,I型早期胃癌1病変, IIa 4病変とIIc 5病変である.手術前に試験的照射を施行した4例を除き局所の根治を目的として治療を行った. 試験的照射例(Borderline lesion 1例, IIa 2例, IIc 1例)において腫瘍破壊効果が病理組織学的に裏づけられた.経過観察例でも最長例は治療後1年を経過したが,全例局所再発なく良好な結果を得ている.照射後形成されたlaser-induced ulcerの治癒期間は病巣の大きさで異なったが,全例偶発症なく瘢痕治癒した.隆起性病変のみならず病巣が限局したものであれば陥凹性病変に対しても安全効果的に治療でき,何らかの理由で手術不能な早期胃癌患者の治療および前癌病変あるいは粘膜内癌と推定される症例の消化管機能保存的な新しい治療法として期待できる.
  • 矢部 英幸, 花房 英二, 河内 文子, 中村 豊彦, 安岡 正敏, 植田 修, 武田 正彦, 林 天明, 重才 誠, 三島 邦基, 原田 ...
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1530-1535
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃膵相関研究の一端として,健常対照者および消化性潰瘍患者における胃液分泌能と純粋膵液分析による膵外分泌能を比較検討した. 胃酸基礎分泌およびテトラガストリン刺戟に対する胃酸分泌ともに十二指腸球部潰瘍群において亢進を示し,対照群および胃潰瘍群との間に有意差が認められた.空腹時膵管内貯溜膵液の重炭酸塩濃度,セクレチン刺戟後の重炭酸塩分泌量はともに胃酸分泌能との間に有意の相関を示し,十二指腸潰瘍群において有意の増加を認めた.すなわち,十二指腸球部潰瘍においては胃酸分泌亢進に対応して膵の重炭酸塩分泌も亢進しており,十二指腸球部潰瘍の発生に膵重炭酸塩分泌減少による胃酸中和能の減少が重要な役割を演じているとは考え難い.
  • 関谷 千尋, 矢崎 康幸, 高橋 篤, 小野 稔, 並木 正義
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1536-1542
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは安全確実に肝組織片の採取ができ,かつ十分な止血対策をほどこし得るdisposableな肝生検針を試作し, 521例について検討したところ満足すべき結果を得た.すなわち,この針は操作が簡単なだけでなく,その構造上肝実質が逃がれることなく切り取られるため,初心者でも容易に1回で十分な組織片を採取できた.しかも,外径が細いので組織のむだな損傷が少なく,出血量も少ないうえに止血対策として8%アルギン酸ソーダ液を注入できるようになっているため,止血効果を一層高めろことができた.われわれの成績は従来の報告に比べ,生検成功率においても出血事故率に関してもきわめてすぐれたものであった.なお,この生検針がdisposableである点は,肝炎予防の面からも望ましいことと思われる.
  • 渡辺 能行, 梶原 譲, 魚住 玄通, 小山 邦彦, 川井 啓市, 多田 正大, 任 書煌, 奥田 宗久, 島本 和彦
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1543-1547
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    近年,増加の傾向にある大腸癌の早期発見のため,大腸癌検診の確立が急務である.この目的のため,軟性部径が8.8mmである細径の試作・集検用大腸fiberscope CF-PM (Olympus)を用いて,人間ドック受診者及び外来患者212例に対して下部大腸検診を行った.前処置はグリセリン浣腸のみで行ったが観察目的部位の腸管の糞便は,ほぼ清浄化されていた.挿入成績は, S状結腸・下行結腸移行部まで全例挿入され,結腸脾彎山部までは82%が挿入された,検査時閻は平均4.6分であった.検査時の被験者の苦痛は,全くなかったのが22%,ほとんどなかったのが70%で,大多数において,あまり苦痛もなく検査ができ,従来のsigmoidofiberscopeよりも広い範囲の大腸の内視鏡検査を行ったにもかかわらず苦痛の少ない傾向がみられた.以上の成績より,CF-PMは短時間で下部大腸を含めた左半結腸の内視鏡観察ができ,大腸癌のスクリーニングに有用な器種といえる.
  • 荒川 哲男, 小林 絢三, 中村 肇, 蝶野 慎治, 山田 博明, 鎌田 悌輔, 小野 時雄
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1548-1551_1
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    活動性胃潰瘍患者の潰瘍辺縁粘膜および潰瘍から隔った胃体部,幽門部粘膜PGE2量を測定した.その結果,難治例の中に,粘膜PGE2量のきわめて低い例が数例認められた.そこで,これらの例を含む難治性胃潰瘍10例に, PGE2 3.0mg/日の経口投与を行った結果6例(60%)に白苔の消失を認めた.これらの結果より,潰瘍の難治化因子として,胃粘膜PGE2の欠乏が一部関与していると考えられた.それゆえ,難治性潰蕩の中でも,胃粘膜PGE2の欠乏が潰瘍の存続に大きく関与していると考えられる症例では,PGE2投与の意義はきわめて大きいと考える.
  • 榊 信広, 飯田 洋三, 天野 秀雄, 竹内 憲, 多田 正弘, 原田 元, 斉藤 満, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1552-1558_1
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃局在病変の臨床診断,特に微小胃病変の診断の目的で拡大内視鏡観察をおこなった.胃小窩単位の模様像である胃粘膜微細模様は種々の病態で複雑な形態を示すが,A, AB, B, BC, C, CDおよびDの拡大内視鏡分類を作った.さらに,CとDについては,整(基本形)と不整に分けたが,不整CまたはDは胃癌に特徴的であった. 胃粘膜局在病変(169)および発赤斑(30)の拡大内視鏡記見を参考にして,微小胃病変(65)の拡大内視鏡をおこなった.微小胃病変を,発赤,陥凹,隆起に分けたが,それぞれに特徴的な微細模様を示した.したがって,拡大内視鏡は微小胃癌診断に有効であると考え,診断へのアプローチの方法について検討した.
  • 山田 章吾, 武田 鉄太郎, 山形 淳, 高橋 優, 吉田 弘一, 高橋 通宏
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1559-1565
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    浸潤期,Lymphangiosis carcinomatosa型胃びまん性癌と考えられる1症例を経験したので報告する.患者は43歳の男性で食後右季肋部痛を訴え,宮城県立成人病センター受診.胃X線,内視鏡検査で胃角部前壁にIIc病変が認められ,胃亜全摘術を施行した.術中,ビルロートI法で胃十二指腸吻合時胃壁粘膜面の縫合針穿刺部に汚濁乳び液の漏出が認められた.この未経験珍奇な現象に強く注目し乳び液の迅速細胞診を試みたところ癌細胞陽性と診断されたため,直ちに胃全摘術を施行した.切除胃の病理組織学的検索では,胃角部前壁に低分化型腺癌よりなる深達度SmのIIcがみられたが,その他に胃体部に,大部分は粘膜ないしは粘膜下層に限局するが,一部で漿膜に達している広範囲のLymphangiosis carcinomatosaが認められた.浮腫あるいは線維化は顕著でなく,retrospectiveに胃X線,内視鏡写真を検討したが,胃体部に異常所見は指摘し得なかった.術後骨転移が発見された.
  • 児玉 正, 辻 賢二, 加藤 隆弘, 福田 新一郎, 内藤 英二, 布施 好信, 岡田 勝弘, 須藤 洋昌, 橋本 睦弘, 中島 正継, 郡 ...
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1566-1570_1
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    右季肋部痛を主訴とした66歳の女性.経静脈胆嚢・胆道造形(DIC),内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)にて総胆管腫瘍を疑がった.さらに詳細な所見を得るため内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)後,スライディングチューブ方式の経口的胆管ファイバー(PCS)を経十二指腸的に挿入した.同検査では管腔の約%周を占める表面軽度凹凸を有する腫瘤の内視鏡的観察が可能であった.さらに胆管ファイバー直視下に施行した生検組織で高分化系膜癌の像が得られた.手術時,総胆管に13×13×6mm大の腫瘤を認めたが,総胆管周囲,膵への浸潤はみられなかった.組織学的には一部で胆管壁全層への浸潤がみられた高分化型腺癌であった.周囲リンパ節への転移はみられなかった.
  • 多田 秀樹, 正宗 研, 竹田 喜信, 岩越 一彦, 布出 泰紀, 松本 恒司, 若林 明, 大柴 三郎, 藤田 素樹
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1571-1577
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    著明な栄養障害を惹起した糞線虫症の1症例の報告である.48歳男性,奄美大島に出生し,7歳で大阪に移住,22歳から精神分裂病に罹患,入院1年前から食後の悪心,嘔吐あり,体重減少も顕著になったため,入院した.入院時,血清総蛋白量およびコレステロールが低値を示し,ブドウ糖負荷試験で糖尿病型を示した.また,糞便中脂肪量の軽度増加,131I-RISA検査で131Iの半減期の著明な短縮がみられた.消化管X線検査で,胃および十二指腸球部の中等度拡張,十二指腸下行端の壁不正,それより遠位の十二指腸および近位空腸の鉛管状狭窄あり,正常粘膜像は消失していた.内視鏡検査で,Kerckring皺襞は消失し,粘膜の萎縮がみられた.糞線虫が生検材料の十二指腸粘膜固有層および糞便に多数みられた.Pyrvinium pamoateおよびthiabendazoleによる治療で,臨床症状の著明な改善がみられた.本症例の治療によるX線,内視鏡所見の改善を供覧すると共に,栄養障害を起こした原因について考察を加えた.
  • 牧山 和也, 橘川 桂三, 原口 増穂, 福田 博英, 森 理比古, 冨田 伸一, 村上 一生, 原 耕平
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1578-1584_1
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    21歳の男性で,回腸・結腸クローン病の一例を経験した.非切除例で,診断はレントゲン検査と内視鏡検査,生検にてなされた. クローン病において直腸病変を合併することは非常にまれとされているが,aphthoid ulcerなどしばしば微小な病変を認めたり,正常直腸粘膜の生検組織中にmicrogranulomaを発見したりすることがある.今回,われわれはクローン病における直腸粘膜の微細な変化を詳しく調べるために,本症例において,普通拡大内視鏡検査とさらに0.2% methylene blue撒布後の拡大内視鏡検査を行い,詳細に直腸粘膜を観察したところ,aphthoid ulcer辺縁の発赤の血管増生所見や数個のpapillaとpitがくずれたいわゆるpapillaの虫喰い像所見を指摘できた.この部の鉗子生検標本の連続切片による探索で,組織学的にmicrogranulomaを認めたため,クローン病に特有な所見なのかなど,その病態とのかかわりについて考察した.
  • 黎 維明, 岡 博行, 正宗 研, 岩越 一彦, 山本 克夫, 大柴 三郎, 山田 真一, 岡島 邦雄
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1585-1589_1
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    絨毛状腺腫はわが国では比較的稀な疾患である.著者らは,ほぼ腸管全周を占め,平坦な隆起を示した絨毛状腺腫の内部に進行癌を認めた1症例を経験したので報告した.症例は79歳女性,主訴,便秘・理学的に,直腸指診で直腸に腫瘍を触知する以外著変はなかった.注腸検査で,直腸に表面凹凸不整,周囲との:境界不鮮明な陰影欠損を認め,その中央部に陥凹を示した.直腸鏡検査では,表面が脳回転状を示す隆起性病変を認め,その中央部に凹凸不整の陥凹がみられた.隆起部および陥凹部からの生検組織は,それぞれ絨毛状腺腫,管状腺癌であった.切除標本では,病変の高さがほぼ一様に平坦な隆起性腫瘍であり,組織上はvillous adenomaで,その中央部の陥凹した部位に,固有筋層に達する癌の存在を認めた.症例供覧に加えて,villous adenomaの発生年齢,好発部位,主症状,腫瘍の大きさと癌との関係や合併症などについて文献的考察を加えた.
  • 池田 靖洋, 田中 雅夫, 吉本 英夫, 伊藤 英明, 郭 仁宣
    1981 年 23 巻 11 号 p. 1590-1599
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    新しい大チャンネル後方斜視型処置用十二指腸ファイバースコープ(Olympus TJF-X・JF-1T)を用いて,以下の内視鏡的治療と特殊検査を行い本機種の性能と有用性にっき検討した.すなわち内視鏡的乳頭括約筋切開術・バスケットカテーテル結石摘出術・緊急胆管減圧法・胆管内カニューレ留置とバルーンカテーテル胆管造影・マイクロチップトランスデューサーカテーテル胆膵管内圧測定に,のべ162症例,重複例を含み250例,計353回使用した結果,TJF-X・JF-1Tの両機種は,各種カテーテルの胆管内挿管能に優れており,一方では大チャンネルのため,カテーテルの挿入時にも吸引効果が良好で,また先端部の破損し易い特殊カテーテル(バルーンやマイクロチップ.カテーテル)の挿入にも適しているなどの利点を有した.両機種の中では,とりわけJF-1Tが性能・操作性に優れ,多目的用途にかなう有用な機種と思われた.
  • 1981 年 23 巻 11 号 p. 1602-1614
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 11 号 p. 1614-1629
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 11 号 p. 1630-1636
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 11 号 p. 1636-1642
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 11 号 p. 1643-1647
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 11 号 p. 1648-1683
    発行日: 1981/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top