抄録
ERCPにおける造影能の向上のために種々の十二指腸ファイバースコープが開発されているが,視野角105度の広角十二指腸ファイバースコープFD・QBを用いてERCPを行ない検討した.膵・または胆道系疾患を疑われる125症例に140回施行し,挿管率は136回(97%),造影成績は胆管113回(80.7%)・膵管118回(84.3%),目的別造影成績は胆管105回申95回(90.5%)・膵管35回(100%),膵・胆道系悪性腫瘍18例は全例目的造影に成功した.広角のため十二指腸下行脚への挿入・乳頭の発見は容易であり,胆道造影の位置への移行・保持も安定して行なえ,挿管に必要な乳頭開口部の観察位置へも十分接近できた.この安定した観察能と操作性を利用してESTを3例に行ない全例一回の施行で結石消失をみた.膵管造影にややてまどる傾向はあるが,ERCPにおいてことに胆管造影率の向上及びEST施行上,効果的に使用し得る器種と考えられた.