日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡による実験肝癌発生過程に関する研究―第2報―
沼 義則小田 正隆江崎 隆朗宮崎 正子坪田 若子安藤 啓次郎松田 彰史森本 哲雄渡辺 精四郎福本 陽平児玉 隆浩沖田 極竹本 忠良
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1981 年 23 巻 5 号 p. 658-662_1

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抄録
発癌過程における肝癌発生に特徴的な肝表面の変化を検討するため,3'-Me-DAB発癌ラットの肝表面を,細径ファイバースコープでもって経時的に観察し,既報においてhyperplastic noduleまでの発癌過程において肝裏面に散在性に発赤部の出現することを報告した,今回は,腹腔鏡下直視下肝生検法を開発し,同発赤部および非発赤部の組織学的検討を行なった.その結果,発赤部は非発赤部に比し増殖旺盛な細胞集団であることが証明された.またhyperplastic noduleから肝癌に至るまでの腹腔鏡的変化を観察し,まずhyperplastic noduleの周囲に血管の増生を認め,しだいに表面に凹凸不整を生じ,表面の血管増生も著しくなり,肝癌の像を示すことがわかった.発癌過程における血管構築の変化としては,発赤の時期より同部は肝動脈支配となることが示唆され,hyperplastic noduleおよび肝癌の周囲および表面に肝動脈由来の著明な細血管の増生がおこることが証明された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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