日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
内視鏡的に摘出し得た胃内胆石の1例
篠原 昭博有正 修道幸田 寿子塚本 真言石賀 光明山本 和秀山本 俊山本 武彦小林 敏成坂本 武司
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 23 巻 5 号 p. 677-685

詳細
抄録
内視鏡下に発見した胃内の胆石を,バスケット型把持鉗子を用い,内視鏡的に摘出し得た症例を経験した. 症例は65歳の女性で,発熱,体重減少,上腹部痛を主訴に入院した.腹部単純X線写真で右季肋部に胆石と思われる石灰化陰影を認めた.胃X線検査では嘔気が強く,かっ胃内に食物残渣を認め充分な検討が不能であったが,内視鏡検査で胃内に黒色調の異物を認めた.胃粘膜は正常であったが,十二指腸球部後壁には粘膜の発赤を認めた.内視鏡的に摘出した異物は大きさ2.7cm×2.4cm×2.0cm,重さ7.45g,比重1.037であった.成分分析の成績および形態所見からコレステロール系の胆石であることが証明された.胆嚢摘出術を施行した際,多数の胆石を有し十二指腸球部後壁に癒着した胆嚢を認めたが,癒着部位にも他の部位にも瘻孔の形成は認められなかった.本症例の胃内胆石は先ず十二指腸内に移行し,胃幽門輪を逆行し,胃に入ったものと推定された.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top