抄録
過去3年間に,抗生物質が原因と考えられる腸炎,20症例を経験し,全例,内視鏡下にて経過を追うことができた. 本症の内視鏡像はこれまでpseudomembranous colitisとnon-pseudomembranous colitisに大別して観察されていたが,後者についてさらに(1)non-spedis type(2)aphtoid colitis type(3)linear ulcer or linear erosion typeの3つのタイプに分類し,比較検討をおこない症例を供覧する. いずれのタイプも,基礎疾患,抗生物質の種類,投与量,投与方法との関連はなかった.しかし,年齢,発症から治癒までの期間については若干の傾向がみられた. 一既に,薬剤性腸炎といっても,その発生機序は一律ではないと考えられ,内視鏡像の詳細な分析をおこなうことも本症発生機序を考えるうえで重要と考え報告する.