抄録
小児の肝,胆,膵系の疾患で問題となっている先天性総胆管嚢腫,先天性胆道閉塞症そして乳児肝炎を鑑別するためにERCPを施行してきたが,1980年6月に試作された小児用十二指腸ファイバースコープOlympus PJF-BSは,JF-B2,JF-B3と同一の優れた観察性と操作性をもち,施行平均年齢2歳9ヵ月であるが現在のところ100%成功している.またPJF-B・Sは,ERCPのみでなく,胃,十二指腸の内視鏡検査にも充分有効であり,胃下垂が著明でない成人に対しても使用可能である. われわれの教室でのERCP最少年齢は2ヵ月であったが,より早期に検査を施行する場合には,先端部の径8.8mφより細型で,側視型が必要であり,今後の開発が待たれる.