日本消化器内視鏡学会雑誌
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カンジダ感染胃潰瘍30例のX線・内視鏡的検討と長期経過観察
神谷 利明森下 鉄夫宗像 良雄三浦 総一郎朝倉 均土屋 雅春
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1981 年 23 巻 8 号 p. 1080-1087_1

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抄録
 1967年より1980年まで14年間に総計25,824名の内視鏡被検者中,直視下生検により組織学的にカンジダ感染胃潰瘍と診断された30例30病巣をX線的,内視鏡的に検討し,さらに23例23病巣については2ヵ月から12年間にわたり経過追求し,次の結果をえた. (1)ヵンジダ感染胃潰瘍の出現…頻度は25,824被検者中30例(0.12%)と非常に低く,そのうち13例(43%)が60歳台以 上にみられた. (2)カンジダ感染胃潰瘍は特徴的なX線的・内視鏡的所見は示さなかったが,多くは最大径2.1cm以上で(54%),深さはUl五に多く(54%),辺縁不明瞭で(60%),30%にはbezoar-like像を呈した. (3)主に胃の上部に好発し(60%),全身性疾患は30例中10例(33%)にみられた. (4)潰瘍治癒率は経過6ヵ月以上で20例中6例(30%)と低かった.抗カンジダ剤は全例に投与されなかったが,カンジダ感染の続出,出血または穿孔,カンジダ血症さらに死亡例などはみられなかった. 以上の成績よりカンジダ感染胃潰瘍は抗カンジダ剤を投与せずとも陰性化し,出血,穿孔死亡例はみられないが,治癒率の悪い潰瘍に合併する可能性が示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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