日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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十二指腸潰瘍を合併した胃癌6例の検討
瀬上 一誠三輪 正彦鈴木 荘太郎菊地 一博渡辺 浩之野見山 哲原沢 茂谷 礼夫三輪 剛
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1981 年 23 巻 8 号 p. 1140-1149

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抄録
 東海大学病院での胃癌手術例356例のうち,十二指腸潰瘍を合併する6例について,術前検査(内視鏡検査,胃透視,色素内視鏡,胃液検査,胃排出能),病理学的所見(占居部位,肉眼型,組織型,深達度)にっき検討した.胃酸分泌能は全例が正・過酸を示し,congo-red法では萎縮性胃炎の広がりは,比較的軽度であった.癌の占居部位は全例幽門線領域に限られていた.肉眼型はIIc型およびIIc+III型またはそれらに類似したものであり,深達度は6例中5例がmであり,1例はpmであった.これらの結果からつぎの推論をした.(1)十二指腸潰瘍による自覚症状のため,癌が早期に発見された.(2)胃酸分泌能がよく保たれており,そのため悪性サイクルまたはそれに類似した変化をくり返し,長期間,癌が粘膜内にとどまっていた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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