抄録
これまで胃アニサキス症は稀と言われていた愛知県の一施設において,2カ月間に,胃アニサキス症急性型確診例を3例経験した.うち2例は,初診時に問診で本症を疑い,ただちに内視鏡検査を施行し,虫体を摘出,治療する事ができた.今日,食品輸送システムの発達により,どの地方でもアニサキス症は予想以上に高頻度で発生すると考えられるが,臨床面での認識は一部の地域を除きそれ程高くなく,大部分は放置され,重篤な結果に至らないまでも,"食あたり"として治療されている例が多いと思われる.本症の診断には問診が最も重要で,疑いがあれば内視鏡検査および虫体の内視鏡下摘出術により早期治療を行なうべき事を強調した.