抄録
抗潰瘍剤Sucralfateの胃潰瘍ならびに胃炎病巣における結合動態を明らかにする目的で,消化性潰瘍47例(胃潰瘍45例,十二指腸潰瘍2例),胃炎10例について,Sucralfateに含まれる硫酸化糖およびアルミニウムを測定し,同時に内視鏡的ならびに組織学的検討を行った.胃潰瘍においては,投与一時間後,Sucralfateは潰瘍病巣に選択的に結合したが,同時にSucralfateは胃内において硫酸化糖とアルミニウムに解離しているものと推察された.一方胃炎においては,慢性胃炎の組織学的変化とSucralfateの結合に相関は認めなかったが,表層性変化のうち,付着粘液および充血の程度と硫酸化糖の結合に有意の相関傾向を認めた.