日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃カルチノイドを合併し"pseudopolyposis"様所見を呈したA型胃炎の1例
池田 知純瀬上 一誠原 雅文鈴木 荘太郎原沢 茂三輪 剛堤 寛長村 義之柴田 俊郎
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1982 年 24 巻 12 号 p. 1927-1935

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抄録
 近年,悪性貧血と胃カルチノイドとの関連を示唆する報告が散見される.今回,悪性貧血の前状態といえるA型胃炎とカルチノイドの合併例を報告するとともに,併存した胃ポリポージスについても若干の検討を加えた. 患者は49歳男性.10年間胃ポリポージスとして経過観察中,ポリープの1つが生検によりカルチノイドと診断され入院した. 身体および臨床検査所見では,空腹時ガストリン値が570pg/mlと高値,抗壁細胞抗体(parietal cell antibody:PCA)が陽性および著明な低酸症(MAO:0.20mEq/hr)を示す他は特記すべき所見は認められなかった.胃X線および内視鏡検査では,胃底腺領域に限局したポリポージスを認めた.なおカルチノイドは胃体上部大彎側にみられ,楔状切除を行った. 内視鏡的congo-red法では一部のポリープの頂部のみ黒変し,同methylene-blue法ではポリープの周囲粘膜および穹窿部にのみ色素の取り込みが見られた.胃生検では,体部粘膜には好銀細胞が比較的多数見られ,前庭部粘膜はG-cell hyperplasiaを示した.また,ポリポージスの頂部は比較的胃底腺が保たれているが,谷間の粘膜は高度の萎縮を示した. これらは,A型胃炎とカルチノイドの関連を示唆し,さらに胃底腺領域のポリポージスはA型胃炎の萎縮性変化によるpseudopolyposisであることを推論させるものといえる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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