日本消化器内視鏡学会雑誌
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腸結核を合併した上行結腸・盲腸Villous Carcinomaの1例
今村 哲理別役 孝井林 淳石川 邦嗣
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1982 年 24 巻 2 号 p. 316-322_1

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抄録
 大腸結核を合併した癌は,本邦では,これまで20例の報告例があるに過ぎない. 上行結腸・盲腸癌に腸結核が合併した1例を報告した. 患者は74歳の女性で,回盲部腫瘤・疼痛を主訴として,1978年10月30日当院に入院した.胸部X線写真上,右上肺野に石灰化像を認めた.糞便及び病変部の生検組織の結核菌培養は陰性であった.注腸X線検査所見・大腸内視鏡検査所見(生検も含め)から,上行結腸・盲腸の悪性Villous tumorと診断した. 手術標本は,肉眼的には,大きさ10.5×7.8cmで,表面はVillous様を示した. 組織学的には表面はvillous~tubulo-villous,深部は高分化腺癌で,癌と近接して,腸癌には,ラングハンス巨細胞,類上皮細胞,リンパ球から成る数個の肉芽腫を認め,更に,リンパ節にも乾酪巣を有する同様の肉芽腫が見られたため,大腸癌・陳旧性腸結核例と考えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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