抄録
重症消化管出血患者に対し,緊急内視鏡と緊急血管撮影を併用し,若干の知見を得たので報告する.20例の消化管出血患者に対し緊急血管撮影を行なったが,そのうち18例には直前に緊急内視鏡が施行され,13例に出血巣の確診が得られた.他は出血量が多く,胃出血とのみ診断出来た.緊急血管撮影では,造影剤の血管外漏出による動脈出血の確診は20例中10例に得られ,緊急内視鏡との併用では,20例中18例に確診が得られた.最終診断は,出血びらん3例,胃潰瘍4例,胃癌2例,静脈瘤破裂10例,結腸潰瘍1例であった.血管撮影を利用した止血術を全例に行ない,20例中17例,85%に止血可能であった.