日本消化器内視鏡学会雑誌
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噴門部胃炎の臨床的研究
―とくに腸上皮化生について―
飯田 洋三後藤 一紀竹内 憲原田 元多田 正弘斉藤 満佐高 真理雄山口 昌之榊 信広岡崎 幸紀竹本 忠良
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1982 年 24 巻 4 号 p. 564-569_1

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抄録

 噴門部から発生し下行性に拡がるいわゆる噴門部胃炎について,内視鏡的および組織学的に検討し,今回はとくに腸上皮化生についてまとめてみた. 噴門部萎縮境界を内視鏡的コンゴーレッド法による鈴木の分類に従って閉鎖型(l型,ll型),開放型(lll型,lV型)に分けた. 噴門部の不変域が広くなるにつれて,生検組織学的に萎縮性変化が著しくなり,腸上皮化生の出現もll型ではl型に比べて明らかに著しく,噴門部粘膜から発生する腸上皮化生も確実にあることが示唆された.さらに噴門部胃炎が進展したlll型,lV型についてみると腸上皮化生の程度はさらに高度となる.しかし開放型では幽門側から進展してくる萎縮性胃炎による変化が当然考えられ,噴門部粘膜から発生した腸上皮化生と決めつける証拠はない.メチレンブルー染色法によって噴門部腸上皮化生の分布と形態をみると,l,ll型ではメチレンブルーの吸収像が得られたものは極めて少い(1例/35例).一方,開放型ではメチレンブルー吸収を認めることが多く,形態学的には大部分が平坦型を示した.したがって,前庭部を中心に発生する腸上皮化生とは性質を異にすることが示唆された.

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