抄録
過去6年半の間で,41症例の小児胆道疾患に対して,44回のERCPを試み,32例に成功した.当初は,成人用ファイバースコープJF-B2を使用したが,われわれの協同開発した,小児用スコープFGS-PE(町田製),及び,X-PJF(オリンパス光学製)の使用により,成功率は上昇し,最近の2年間は,生後1カ月の乳児を含めて,100%と良好である.乳児例は6例で,新生児肝炎3例(生後35日,72日,79日)には,膵管胆管の両管が造影され,一方,先天性胆道閉鎖症3例(生後46日,65日,80日)には,膵管だけ造影され,ERCPにより,鑑別診断が可能であった.小児用十二指腸ファイバースコープの開発により,長年の課題であった,新生児肝炎と,先天性胆道閉鎖症の鑑別診断に,ERCPの応用が,可能になった事を報告する.