日本消化器内視鏡学会雑誌
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発症後17日目に摘出された十二指腸下行脚のアニサキス症例
佐々木 博司渡辺 博文鈴木 康男小山 力
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1982 年 24 巻 4 号 p. 667-671

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抄録
 家庭冷蔵庫にて24時間以上冷凍した俗称ソイ(Sebastes spp.)の刺身を食べて,十二指腸下行脚のアニサキス症を発症した1例について記載した.患者は52歳の主婦で,右季肋部痛と嘔気を主訴として来院した.検査の結果,十二指腸下行脚に一線虫の組織穿入を認めたので,オリンパスJF-B3による摘出術で,発症後17日目に虫体を摘出した.検査の結果,本線虫はほぼAnisakis l型幼虫と同定された.十二指腸下行脚からのAnisakis l型幼虫と思われる線虫の確実な検出は,これが最初と思われる.なお本症発生予防の見地からは,一般用家庭冷蔵庫での生魚の凍結保存は本症発生予防に必ずしも安全とは言えない.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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