日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的胃粘膜血流二層同時測定に関する検討
平山 洋二丹羽 寛文三木 一正木村 正儀張 景明半井 英夫
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1982 年 24 巻 6 号 p. 873-877

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抄録
水素ガスクリアランス法による胃粘膜血流測定用針電極は,測定時の先端の位置が常に問題とされて来た.今回われわれは,長さの異なる2本の針からなり,二層を同時に測定できる電極を作成した.2本の針の長さは1.5mmの差があり,長い方の針電極を粘膜面から2mm刺入させると、短い方の針電極は粘膜面から0.5mm内外に位置し,後者によって得られた水素ガスクリアランスカーブは粘膜血流を反映することになる.本電極を用い,顕著な胃病変のない8例で胃血流測定を試みた.症例によって値にばらつきがあっても,同一症例においては幽門前庭部,胃体部とも深さの異なる2点での測定値間に有意の差がみられなかった.また,全例胃体部血流量は幽門前庭部に比べ多い傾向が認められた.従来の針電極はその先端の位置に多少のずれがあっても,その成績には影響がなく,胃粘膜血流量を反映するクリアランスカーブが得られることが判明した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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