日本消化器内視鏡学会雑誌
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下部消化管出血に対する緊急大腸内視鏡検査の検討
林 繁和江間 幸雄市川 和男小林 英治小池 光正中村 常哉
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1982 年 24 巻 6 号 p. 878-883_1

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抄録
最近2年6カ月間に下部消化管出血に対して出血後72時間以内に施行した緊急大腸内視鏡検査を54例経験した.前処置は46例は微温湯による高圧浣腸を,8例は下剤投与を行なった.疾患別頻度は薬剤性大腸炎15例27.7%,分類不能の出血性大腸炎8例14.8%,虚血性大腸炎5例9.3%,感染性腸炎4例7.4%などで,急性大腸疾患が数多く診断された.これらの疾患は経過が速く,検査がおくれると出血源が不明となることが多いので緊急に内視鏡を施行する意義は大きい.出血部位の検討では直腸鏡の到達範囲を越えるものが多く,深部大腸にも相当みられるので,緊急大腸内視鏡検査に際しては回盲部まで観察可能な器種を用い,出血源を確認するまで深部大腸を観察することが診断率を高めるのに重要である.本検査は早期診断,治療方針の決定にはもちろん急性腸病変の病態解明にも極めて有意義であり,慎重に行なえば安全に施行できるので,今後積極的に行われるべきと考える.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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