日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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非観血的に治癒せしめたBoerhaave症候群の1例と内視鏡観察例の文献的考察
船富 亨三室 淳土谷 幸弘桜井 幸弘北村 明池上 文詔多賀須 幸男
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1982 年 24 巻 6 号 p. 911-921

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抄録
29歳男性が発熱を伴った心窩部痛,胸骨下端痛を主訴に入院.発症後2日目の内視鏡検査で食道潰瘍と小胃潰瘍がみられた.発症8日後の透視によってはじめてバリウムの縦隔内への漏出を発見しBoerhaaves syndromeと診断された.抗生物質の静注と制酸剤の経口投与のみで外科的処置は行わなかった.内視鏡検査は19日目,42日目にくりかえし行われたが,最後の内視鏡所見では瘢痕すらみられなかった. 本邦では現在迄117例のBoerhaaves syndromeが報告されているが,そのうち,22例が内視鏡的観察を行っている.22例中8例(36%)は外科的処置なしに治癒し,外科的処置をした14例のうち4例は死亡している.Boerhaaves syndromeの救命的な治療のためには発症後24時間内に診断する必要がある.早期に注意深く内視鏡を行い破裂の位置,大きさを確めることの意義と安全性を強調した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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