日本消化器内視鏡学会雑誌
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右側大腸憩室症の成因に関する研究
―右側大腸内圧及び形態学的検討―
杉原 健一武藤 徹一郎沢田 俊夫小西 文雄上谷 潤二郎森岡 恭彦
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1982 年 24 巻 6 号 p. 902-910

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抄録
大腸内視鏡を用いてMikro-Tipトランスデューサーを上行結腸内に留置し,上行結腸内圧を測定した.対象は正常例7例,多発性右側大腸憩室症10例である.安静時,憩室群は正常群に比べ高い運動指数を有したが有意差はなかった.Vagostigmin 0.5mg静注後,憩室群の運動指数は正常群の5倍で有意に高い値を示し,正常群には極めて少ない50mmHg以上の波が多発した.これは憩室群の上行結腸の運動亢進及び腸管内圧の上昇を示していると考えられる.また右側大腸憩室症15例の切除標本の組織学的検索では48個の憩室はすべて仮性憩室であり,切除標本のマイクロアンギオグラフィーでは動脈が憩室を乗り越えて走っている像が観察された.これらの結果は欧米での左側大腸憩室症における生理的並びに組織学的異常と類似しており,右側大腸憩室症の発生には腸運動異常による腸管内圧上昇が重要な役割を演じていると考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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