日本消化器内視鏡学会雑誌
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大量出血をきたした微小胃粘膜欠損(Gallard-Dieulafoy潰瘍)の1例
狩野 敦山岡 豊佐藤 邦夫松谷 富美夫河合 清隆加藤 浩平菅井 俊堺 順一藤巻 英二海藤 勇
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1982 年 24 巻 9 号 p. 1406-1411_1

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抄録
症例は50歳,男子.吐下血を主訴として入院.内視鏡検査で胃体中部前壁の小さな粘膜欠損部に一致して半球状に突出した凝血塊の付着を伴う露出血管からの出血が確認された.小病変であったが保存的には止血し得ず,従来このような病変は,Dieulafoy潰瘍,submucosal gastric artery microaneurysm,gastric artery sclerosis, arteriovenous malformationなど種々の名称で呼ばれているが,通常の出血性消化性潰瘍と異なり,前駆症状を示さず突然に吐下血を起こす死亡率の高い疾患で,早期の外科的処置が必要である.組織学的にも,粘膜下を蛇行する太い動脈が,Ul IまたはIIの浅い潰瘍部分で破綻しているものである.本症の臨床的特徴および問題点を考案すると同時に,このような特異な病態を呈する本症に対し,共通の名称(Gallard-Dieulafoy潰瘍)をつけて出血性胃病変の一疾患単位として位置づける必要があると考える.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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