日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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新H2-receptor antagonist投与により,経過観察中に肉芽の隆起を認めた巨大潰瘍の1例
佐々木 裕一中尾 昌弘山田 英明三谷 栄時鎌田 悌輔小野 時雄小林 絢三山本 祐夫
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1982 年 24 巻 9 号 p. 1413-1418_1

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抄録
59歳男性で,胃角部小彎後壁寄りの巨大潰瘍に,新H2-receptor antagonist(Ranitidine)を投与したところ,治癒過程で肉芽の隆起を認めた極めて稀な一症例を経験したので報告する.胃角部小彎後壁寄りの巨大潰瘍は,Ranitidine投与1週間後に,縮小傾向はなかったが,潰瘍底は急速に浅くなり,4週間後には,この病変は白色調の隆起に変化していた.なお,組織学的に,この隆起は表面に再生上皮を認めず,毛細血管の著明な増生にリンパ球の浸潤を伴った肉芽組織であった.その後も2週間に1回,内視鏡にて経過観察を行った結果,隆起性変化は21週間後に消失した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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