前回報告した超音波腹腔鏡に改良を加えた3号機を試作し,臨床的有用性につき検討した.3号機の主たる改良点は,光学系を左右両方向互換性の前方斜視としたこと,軽量化による操作性の改善,走査可能範囲の拡大を目的とした超音波走査部の屈曲可動角の拡大,画像表示法の改良などである.先端超音波走査部の短縮,臓器表層域の解像能の向上などまだ若干の改良,工夫が必要であるが,本機により実用的検査装置として一応の完成をみたと考えられた.今回の基礎的ならびに臨床的検討から,現時点で考えられる本検査法の適応疾患は以下の様に考えられた.まず,肝腫瘍が疑われるが他の検査法で確定不能の場合には第1の適応となる.肝腫瘍の切除範囲を決める術前検査としても有力であると推定された.胆道疾患に対しては体外走査法より特に優れているとは考えられない.膵疾患に対する診断的意義については更に検討を要するが,膵へのアプローチ法として肝および胃壁を介する2方法が考えられ,頭および体部の抽出は可能だが,尾部は難しいと判断された.