日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
内視鏡的マイクロ波凝固療法の新しい試み:悪性腫瘍による食道狭窄に対する姑息的療法
永井 祐吾勝見 正治田伏 克惇青山 修野口 博志江川 博小林 康人金 秀男森 一成東 芳典山上 裕機
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 25 巻 10 号 p. 1484-1490_1

詳細
抄録
 マイクロ波凝固装置(M.T.C)の凝固破壊効果,温熱効果,及び抗腫瘍効果を期待して切除不能癌による食道狭窄例(食道癌4例,噴門癌4例)に,内視鏡的マイクロ波凝固療法(E.M.C.T)を行なった.成績は良好で,7例(88%)は治療後嚥下困難が改善した.また,術前内視鏡が通過困難であった4例は,治療後内視鏡が通過した.今回は基礎実験に比し高出力(主に70~100wの条件)で凝固を行なったが,特に問題なく,より効果的であった.また,今回導入した解離電流装置は,針状電極への凝固組織塊付着防止に有効であった.M.T.Cは組織刺入法で用いるという点が,レーザーメスや電気メスと異なるところであり,標的組織を安全,確実に凝固できるという特長を有している.食道は壁が薄く不安定な臓器であるが,注意深い操作により,M.T.Cが有用となると考えている.また,抗腫瘍効果も期待できるので,切除不能癌の新しい治療法の一つと成り得ると考える.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top