抄録
従来の水素ガス吸入による内視鏡的水素クリアランス式胃血流測定法から更に発展し,今回はあらたに電解式組織血流計を導入し,胃血流測定への応用について検討を加えた.この方法は局所に電気分解で水素ガスを発生させ,局所血流量を求めようとするもので,発生装置および操作が極めて単純であり,吸入法と比較して頻回に測定することが可能である利点を有する.今回は吸入法と電解法の比較から次の結論を得た.(1)測定時間が短く,再現性は非常に良好である.(2)電解式で得られた血流値は吸入式で得られた値より常に大きく,電解式の場合は単純拡散の要素を考慮する必要がある.(3)電解式測定法には従来の1回法のみでなく持続法も応用できるが,後者の場合には組織内pHの変動を考慮する必要がある.