日本消化器内視鏡学会雑誌
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25 巻, 11 号
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  • 塚田 英昭, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫
    1983 年25 巻11 号 p. 1643-1649
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     ラットに胃ろうを作成し,経胃ろう的にヒト用ガストロファイバースコープを挿入して,ラット水浸拘束潰瘍の発生過程および酢酸潰瘍の治癒過程を経過観察し,鮮明な内視鏡像を得ることができた.以前より胃内視鏡の動物実験への応用については,主にイヌ,サル等の比較的大型の動物に用いられている.また,ラット等の小動物にはヒト用気管支ファイバースコープを用いた報告がみられるが,これは外径が細くファイバーの数も少ないため,鮮明な像が得られず,詳細な病変部の観察には不適と考えられる.今回の胃ろう法によるラット胃粘膜の内視鏡的観察は,ファイバーを経食道的に挿入する必要がないため,外径の太いヒト用ガストロファイバースコープの胃内挿入が可能である.そのため鮮明な像が得られ,特にRat実験潰瘍の詳細な経時的観察に有用な手技であると考える.
  • 太田 博郷, 綿引 元, 中野 哲, 武田 功, 杉山 恵一
    1983 年25 巻11 号 p. 1651-1657
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管出血に対する緊急内視鏡検査と内視鏡的止血法の意義と限界を評価するために,出血性胃潰瘍手術例の検討を行なった.患者は時期別に3群に分け,緊急内視鏡検査導入前をA期,緊急内視鏡検査導入後で内視鏡的止血法導入前をB期,内視鏡的止血法導入後をC期とした.内視鏡的止血法として,われわれは種々の方法を試みている.しかし大部分は高張Na-Epinephrine液(以下HSE)局注療法を用いているので,今回は他法は除外して検討した. 1) A期とB期と比べると,臨床所見には大した差はみられなかった.しかしB期の方が術前の正診率がよく,また小潰瘍の手術例は少なかった. 2) 入院から手術までの期間は,B期よりC期の方が長い例が多く,HSE局注法は一時的止血効果にもすぐれていた. 3) 手術率はB期(37.4%)に比べてC期(13.7%)の方が有意に低く,HSE局注法は永久止血効果にもすぐれていた. 4) B期に比べてC期の手術例は,(1)胃潰瘍の既往歴をもち,(2)胃角部小彎のUl IVの深い潰瘍で,(3)3cm以上の大きな潰瘍が多いといった特徴があった.これらは難治性の再発潰瘍であることが多く,ここに現法のHSE局注療法の限界があると思われその対策が今後の課題であろう.
  • 宮本 二郎, 福富 久之, 島倉 秀也, 中原 朗, 川北 勲, 山形 迪, 小山 捷平, 武藤 弘, 大菅 俊明, 崎田 隆夫
    1983 年25 巻11 号 p. 1658-1665
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     従来の水素ガス吸入による内視鏡的水素クリアランス式胃血流測定法から更に発展し,今回はあらたに電解式組織血流計を導入し,胃血流測定への応用について検討を加えた.この方法は局所に電気分解で水素ガスを発生させ,局所血流量を求めようとするもので,発生装置および操作が極めて単純であり,吸入法と比較して頻回に測定することが可能である利点を有する.今回は吸入法と電解法の比較から次の結論を得た.(1)測定時間が短く,再現性は非常に良好である.(2)電解式で得られた血流値は吸入式で得られた値より常に大きく,電解式の場合は単純拡散の要素を考慮する必要がある.(3)電解式測定法には従来の1回法のみでなく持続法も応用できるが,後者の場合には組織内pHの変動を考慮する必要がある.
  • 尾崎 正行, 宮川 晴雄, 星山 直基, 武知 桂史, 奥田 順一, 井田 和徳, 川井 啓市
    1983 年25 巻11 号 p. 1666-1673
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     今回,HpD投与によるN2色素レーザーの悪性腫瘍に対する診断能,実地臨床上の問題点について基礎的検討をおこない,下記の結果を得た。(1)N2色素レーザーの発振光は非連続波であるが,パルス繰り返しを60pps以上にすると肉眼的に連続波としてみえ,HpDの蛍光を観察する上で支障とならなかった.(2)N2色素レーザーの導光ファイバー先端での平均パワーは23mWと低いが,ピークパワーは38kWと高く,HpDを励起するに充分なパワーであった,(3)10倍ごとの希釈溶液によるHpDの最小検出値は5×10-4pgであった.また,ヒト・動物の腫瘍組織ではHpD3mg/kg投与48~72時間後,少なくとも厚さ50μまで蛍光を観察しえた.(4)HpD蛍光観察上,新鮮血液。粘液・白苔は阻害因子となるが,0.3%インジゴカルミンは阻害因子とならなかった.今回の基礎的検討にてN2色素レーザーの有用性が立証されたので,今後,このレーザーとimage intensifierを組み合せたsystemを内視鏡下の腫瘍診断へ応用するべく検討をすすめたい.
  • 古田 雄一, 小堀 鴎一郎, 森岡 恭彦
    1983 年25 巻11 号 p. 1674-1678
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     cresyl violet染色は,新鮮切除胃標本の早期胃癌の拡大観察に,さらには拡大内視鏡観察にとって有用であることがわかってきた.cresyl violet染色の内視鏡検査への臨床応用に先きだち,染色液の安全な使用量の解明が急務とされる. cresyl violet染色液(cresyl violet acetate 0.14重量%とthionine 0.11重量%を含む5%エタノール溶液)の毒性の有無を試すため,ウィスター系ラット(雄45匹,雌20匹)を用いて,経口投与群および腹腔内投与群の2群に分け,急性毒性試験を行った.染色液の投与量としては,内視鏡検査時における1回の使用量(5ml)の体重比にして100倍,25倍および5倍量を,それぞれ2群のラットに投与した.投与24時間後に,血液生化学的検索(GPT,GOT,LDH,ALP,TB)ならびに,肝,腎,胃の組織学的検索を行ったが,何ら異常値を示すものや,異常所見を呈するものはみられなかった. これらの結果より,cresyl violet染色の拡大内視鏡検査への臨床応用は可能であると考えた.
  • 中村 正樹, 丸山 雅一, 佐々木 喬敏, 大田 博俊, 高橋 孝
    1983 年25 巻11 号 p. 1679-1687
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     1946~1979年の間に癌研病院で手術したポリポージスを除く同時性大腸多発癌(以下多発癌と略)70例(同時期の全大腸癌手術例の4.7%に相当)について検討し,以下の結果を得た.1946~1973年では,X線診断は多発癌の全病変を存在診断してはいない症例が多く,内視鏡診断はS状結腸より口側の病変を観察していない症例が多かった.しかし,二重造影法とファイバースコープ法の確立により,1974~1979年では,X線,内視鏡とも診断能が極めて向上したが,なおX線,内視鏡ともに進行癌よりも早期癌の存在診断率が低率で,内視鏡は第一癌の口側の癌が第一癌とその肛門側の癌よりも存在診断率が低率な傾向を認めた.結論として,多発癌の診断にはポリープ併存症例に注目し,S状結腸と直腸を重視し,ひとつの癌を発見した場合には少なくとも他に2個の癌が存在するとの想定のもとに,その癌と同一部位あるいは隣接部位を注意深く検索することが重要である.
  • 荻野 幸伸, 神津 照雄, 円山 正博, 佐藤 博
    1983 年25 巻11 号 p. 1688-1696_1
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道癌のリンパ節転移診断・壁深達度診断は,術前に把握すべき重要項目であり従来より種々の方法が試みられてきたが,未だ確実な診断法は確立されていない.われわれは1981年6月より町田・東芝社製リニア電子走査式超音波内視鏡を使用し,上部消化器疾患に対する有用性を検討してきたが,今回は食道癌に対する本検査法の有用性について報告する.まず切除標本を用いた脱気水中での実験では正常食道壁は5層に描出され,第3層から第5層が各々粘膜下層,固有筋層,外膜および脂肪組織と対応することが明らかになったが,第1層および第2層の正確な同定にはより高周波数の探触子が必要と思われた.臨床例においては,長径5mmからの縦隔内リンパ節が描出可能であった.また,癌腫と正常食道壁の層構造の比較により,深達度診断も可能と思われた.本検査法は今後食道癌に活用されるべき新しい診断法と思われる.
  • 佐藤 和一, 小松 寛治, 盛合 範彦, 中目 千之, 佐々木 雅佳, 山崎 日出雄, 丹野 尚昭, 花田 稔, 高野 一彦, 明城 光三
    1983 年25 巻11 号 p. 1697-1703
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     卵巣原発3例,虫垂原発2例,計5例の腹膜偽粘液腫を報告した.全例,腹腔鏡検査により診断した.卵巣原発3例の腹膜偽粘液腫には,術後,化学療法を施行し,うち2例では,化学療法施行中,腹腔鏡検査による経過観察をおこない,この腹腔鏡所見をもとに,化学療法の効果判定をおこなった.臨床的特徴に乏しい腹膜偽粘液腫における,早期診断,原発巣の検索,腹腔内の性状把握,および化学療法の効果判定などに関し,腹腔鏡検査は,きわめて高い臨床診断的意義を有するものと考えられた.
  • 佐藤 彰, 浅木 茂, 西村 敏明, 岩井 修一, 石井 元康, 棒沢 清昭, 大方 俊樹, 小野寺 博義, 後藤 由夫
    1983 年25 巻11 号 p. 1704-1709_1
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管透視にて辺縁が平滑な陰影欠損が認められ,胃内視鏡検査にてもDelle等は認められず,正常粘膜に覆われた胃隆起性病変を認めた場合,胃粘膜下腫瘍と胃外圧排との鑑別に苦慮する場合が少なくない.今回,71歳の女性で,cardia前壁にbridging foldを伴なう半球状の腫瘍が認められたが,X線透視下に,水溶性造影剤を用いた粘膜下造影を施行し,胃外腫瘍による圧排と鑑別できた.自験例は,その後腹部超音波,CT,血管造影,腹腔鏡等にて肝血管腫と診断された.手術所見では,腫瘍は,肝左葉にあり,大きさは3.0×6.0cmで赤紫色を呈し,多房性であった.病理組織学的に,腫瘍は,大小の血管腔を形成し,その内腔は一層の内皮細胞より成っており肝海綿状血管腫と診断された.胃粘膜下腫瘍と胃外圧排との鑑別に際し,粘膜下造影法が1つの有力な手段となりうるものと考え,若干の文献的考察を加え報告した.
  • 堀内 孝彦, 松尾 俊和, 上田 章, 鉢嶺 一男, 福嶋 正孝, 梶山 憲治, 沢江 義郎
    1983 年25 巻11 号 p. 1710-1713_1
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     症例は53歳,女性.昭和55年多関節痛をきたし,全身性エリテマトーデスと診断された.副腎皮質ステロイド剤にて治療開始したところ,胃潰瘍を併発した.抗潰瘍剤の投与により潰瘍の経過は良好で,5カ月後の内視鏡検査にて治癒が確認された.しかし,その後の胃X線検査による経過観察で,胃潰瘍と胃・十二指腸瘻が認められた.内視鏡検査にて,幽門小彎側に潰瘍を伴った副幽門を認めた.副幽門の十二指腸球部への開通は,本来の幽門より挿入した洗浄用チューブを副幽門を通して十二指腸球部内に観察することにより証明した.胃潰瘍に続発した重複幽門(double pylorus)の形成と考えられ,本例の成因について,副腎皮質ステロイド剤との関連を論じ,あわせて重複幽門の成因に関して若干の考察を加えた.
  • 菅 充生, 大嶋 哲夫, 川崎 君王, 高山 晴至, 笹浪 哲雄, 矢花 剛, 井口 進, 佐藤 勝巳, 谷内 昭
    1983 年25 巻11 号 p. 1714-1719
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     高アンモニア血症を伴う重症肝炎で,腹腔鏡検査にて典型的な馬鈴薯肝を呈した1例を報告した.症例は21歳,男性.黄疸を主訴に入院,肝炎の回腹期に高アンモニア血症が出現したが,プレドニゾロン,THF,ラクチュロースの投与により高アンモニア血症および肝炎は改善した.第105病日に施行した腹腔鏡検査で,肝は両葉ともにKalkらの報告した典型的な馬鈴薯肝を呈していた.馬鈴薯肝の報告は少く,文献的考察を加え報告した.
  • 岩尾 憲人, 平岡 諦, 高 義雄, 清水 正, 河北 誠三郎, 曽我 文久, 塚本 美文, 甲田 徹三, 倉堀 知弘
    1983 年25 巻11 号 p. 1720-1726_1
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     台湾に生まれ,鹿児島・佐世保にて育った38歳の男性.下痢を主症状として発病し,細菌性赤痢の治療のため入院した.抗生剤の投与にもかかわらず,下痢は持続した.貧血は認められなかったが,入院時すでに白血球数は,47,500/mm3と増加し,白血球分類では,分葉化した核をもつ異常な(白血病性の)T細胞が,46%にみられた.この症例の特徴は,消化管とくに大腸粘膜の白血病性病変である.すなわち,X線所見では,大腸粘膜の浮腫状の腫張と,周堤を伴った,いわゆる《タコイボ》状のびらんがみられ,大腸内視鏡所見では,不透明な粘膜に,びらんと偽ポリープが混在し,大腸生検により,ATL細胞の大腸粘膜内への浸潤が確かめられた.
  • 安藤 博, 長崎 雄二, 小林 輝久, 中村 浩一
    1983 年25 巻11 号 p. 1727-1733
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     昭和52年12月より,新しい内視鏡所見の記録法であるインスタントカメラによる内視鏡用ポラロイド撮影装置EC-3(以下EC-3と略す)の使用を始めた. 内視鏡施行の全症例に,このインスタントカメラによる撮影を施行してはいないが,このEC-3による撮影には従来のフィルム撮影には認められない長所がある.従来のフィルム方式は現像に時間を要し,画像として内視鏡所見を直ちに見ることは出来ないが,インスタント方式のEC-3により撮影を行なうと,約90秒後に直ぐに画像を入手することが出来る. これが最大の長所である.それにより緊急内視鏡施行後,直ちに,第三者による画像を参考にした治療法の検討が可能である.内視鏡施行直後に画像を示しながら患者および家族に説明も可能で,内視鏡所見の報告書や病歴に添付することにより,これまでのフィルムをプロジェクターにかけて検討する手間が省ける.また紹介医に,このポラロイド写真を1~2枚添付して返事を出すことにより,紹介医が自分の紹介した症例の内視鏡所見をこの写真により知ることは,以後の日常の診療に役立つことが大きい. 撮影装置の大きさは,190(幅)×160(高さ)×90(奥行)mm,重量は約9009と,ModelSc-16に比してやや大きく重いが,その取り扱いにさほど不便は感じられない.しかし得られる画像画がやや小さく(使用する内視鏡の器種にもよるが直径25mm前後),またフィルムが他に比べて高価である. われわれは,EC-3による撮影を行なって,この装置による長所,短所を以上の如くに知ったが,この新しい内視鏡所見の記録方法は,先端カメラ方式,接眼部カメラ方式または接眼部に取り付ける8mm,16mm映画による記録とことなり,内視鏡施行直後に,画像写真が得られる最大の利点をもつインスタントカメラ方式は,内視鏡の分野にも今後大いに導入されるべきであろうと考えている.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年25 巻11 号 p. 1734-1770
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年25 巻11 号 p. 1770-1805
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年25 巻11 号 p. 1806-1826
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年25 巻11 号 p. 1827-1861
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1983 年25 巻11 号 p. 1862-1893
    発行日: 1983/11/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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