日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的逆行性膵管ドレナージ法
富士 匡有山 重美天野 秀雄衣川 皇博浅上 文雄相部 剛播磨 一雄竹本 忠良
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1983 年 25 巻 2 号 p. 310-315

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抄録

 近年,内視鏡的胆道ドレナージ法は非観血的胆道内瘻術として発展してきた.本法は安全性の高い,減黄効果のすぐれた生理的な方向への胆道ドレナージであり,切除不能の膵,胆道癌患者にとっては特に理想的なドレナージ法である.われわれは昨年から本法を施行し,胆道閉塞をおこしている膵胆道悪性疾患ばかりでなく,良性疾患にもその適応を拡大し,良好の結果をえている. 本法をさらに一歩すすんで,膵への応用を試み,内瘻チューブを十二指腸乳頭部癌で閉塞した主膵管の尾側に留置し内視鏡的膵管ドレナージの内瘻術に成功した.膵管ドレナージは膵管内圧を減圧することによって,膵癌,乳頭部癌,慢性膵炎症例にみられる腹痛や高アミラーゼ血症などを改善させるものと思われる.従って,内視鏡的逆行性膵管ドレナージ法は近い将来,膵疾患の内視鏡的治療になることが期待される.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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