日本消化器内視鏡学会雑誌
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発症初期より観察し得た虚血性大腸炎の1例
金沢 重俊岩渕 国人小時田 宏仂中村 元行折祖 清蔵班目 健夫狩野 敦
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1983 年 25 巻 2 号 p. 304-309_1

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抄録

 発症初期より経過観察し得た虚血性大腸炎の1例を報告する. 症例は59歳の男性で,突然に発症した下腹部の激痛を主訴として入院した.初診時より高度の血圧上昇(190/100mmHg)がみられた.入院後,すなわち腹痛出現より12時間後に突然の下血をみた.第2病日の注腸造影所見ではS状結腸に狭小化,壁不整,thumb printing signsがみられた.また内視鏡にては粘膜浮腫がみられ,小出血および多発した不整形の潰瘍が散見された.腹痛,下血は保存的療法により数日以内に消失し,以後は症状の出現はみなかった.本症例は退院後,異常をみず外来に通院している.発症より4カ月後の注腸造影および内視鏡検査にては全く異常なかった.以上の発症様式,臨床経過,内視鏡および注腸造影所見より,本症例はMarstonのいうところのischemic colitisのtransient formと考えられた

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