日本消化器内視鏡学会雑誌
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Cresyl Violet染色による新鮮切除胃粘膜の拡大観察―拡大内視鏡検査の基礎研究として―
古田 雄一
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1983 年 25 巻 3 号 p. 359-371

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抄録

 新鮮切除胃71症例91病変および対照9症例に,cresyl violet染色を施行し実体顕微鏡下で拡大観察を行った結果,粘膜表面細胞の細胞核が選択的に染色され,所謂胃粘膜微細模様が観察できた. 健常な胃固有粘膜では,胃小窩・胃小溝模様(幽門腺領域)と,胃小窩模様(胃底腺領域)とが観察された.腸上皮化生粘膜は細胞質も染色され,十二指腸絨毛に似たV3型(Villiform pattem),胃固有粘膜に似たG型(Gastric pattern)およびその中間型であるV2,V1型の4型に分類でき,V3型には完全型腸上皮化生が,G型には不完全型が多かった.早期胃癌の表面微細模様は4型に分類でき,乳頭腺癌には1型が多くみられ(91%),高分化型および中分化型管状腺癌には2型が多かった(88%,78%).しかし印環細胞癌には3型が48%と多いもののその他の形態も少くなかった. 実験犬を用いたcresyl violet染色・拡大内視鏡検査でも胃粘膜微細模様が充分観察でき,早期胃癌さらには微小胃癌の診断へのcresyl violet染色の臨床応用が示唆された.

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