日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
治療前後の腹腔鏡検査によりD-ペニシラミンの治療効果を観察しえた,ウィルソン病の1症例
門 祐二沖田 極安藤 啓次郎坪田 若子沼 義則福本 陽平児玉 隆浩五嶋 武竹本 忠良
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 25 巻 3 号 p. 482-489

詳細
抄録

 家族歴を有するウィルソン病の1例を報告する.症例は11歳女性.急性肝炎様の症状で発病し入院となった.血清銅代謝異常,Kayser-Fleischer角膜輪の存在等から本症と診断した.D-ペニシラミンの内服開始とともに尿中への銅排泄は著増し,1年間にわたる治療後には,臨床的にも,肝機能上もほとんど正常化した. 治療前と1年後の2回の腹腔鏡検査では,形態的にも肝表面像の改善が認められた. ウィルソン病では,治療効果の判定の手段として,腹腔鏡検査を行ない肝表面像の改善を確認することが有意義であると考える.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top