日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
Intraluminal duodenal diverticulumの1例
副島 靖雄伝法 陽子福士 玄松川 昌勝相沢 中吉田 豊
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 25 巻 3 号 p. 477-481_1

詳細
抄録

 心窩部痛を主訴とし来院,胃X線・十二指腸内視鏡検査でIntraluminal duodenal diverticulumと診断した1例を経験した.症例は16歳の男性で,昭和55年9月下旬頃から心窩部痛を訴え,同年10月20日当科を受診した.胃X線,低緊張性十二指腸造影でIntraluminal duodenal diverticulumに特徴的とされる,周囲を薄いhaloで囲まれた西洋梨状陰影を認めた.十二指腸内視鏡検査では,十二指腸乳頭の前壁に憩室の開口部が存在し,憩室は蠕動で附着部を中心に上下に移動した.ERP・DICは共に正常で,胆膵系との関連はみられなかった.症状の改善を目的として,外科に転科し憩室を切除した.切除標本の組織学的検索では,憩室の両面は十二指腸粘膜からなり,不完全な筋組織が粘膜下に認められた.以上の所見は,本症の発生要因として不完全十二指腸隔膜説を支持する所見であった.

著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top