日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸内視鏡的polypectomyにおける多発ポリープの取り扱い方
北野 寛野垣 茂吉
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1983 年 25 巻 6 号 p. 883-889

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抄録
 1979年~1982年の2年10カ月間に335症例に対し386回512個の大腸内視鏡的polypectomyを経験した.多発の頻度は32.8%で,ポリープの39.3%が下行結腸より深部に分布した.回収は多発~ 微小な病変程困難で全体の回収率は94.3%であった.組織像では腺腫及び癌が全体の82.4%を占め,早期癌41個が含まれていた.sm癌は5個で,うち2個が最大径7mmの比較的小さい病変であった.合併症は大出血の2例を経験した.多発例のpolypectomyでは回収が最も厄介な問題点となり,現在の技術では一度にすべての病変を安全に摘除かつ回収することは容易でない.そこで,多発ポリープ患者の治療においては不必要な回収にこだわらず切除術自体の安全性及びsm癌の診断に誤りがないよう特に注意を払うべきと思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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