抄録
大腸癌の通常光による内視鏡観察時に,特に腫瘍親和性光感受性物質を用いることなく,アルゴンレーザー光(波長488nm ,514.5nm)を内視鏡のライトガイドより誘導・照射し, filter (Kodak wratten gelatin filter No. 12,21,25)を通してアルゴンレーザー光励起による大腸癌の内視鏡的蛍光観察を行なった. 進行癌では,大きさを問わず,その周堤に明瞭な橙赤色蛍光を比較的密に認めた(17/22例).また潰瘍底にも明瞭な橙赤色蛍光を密に認めた(7/22例). 早期癌では,腫瘍全体が暗い橙色調に観察され,点状から小斑状の橙赤色蛍光を散在性で,比較的疎に認めた(5/5例). 大腸早期癌の通常光による内視鏡診断は困難なため,アルゴンレーザー光励起による内視鏡的蛍光観察は,内視鏡的補助診断法として極めて有用であり,大腸早期癌の内視鏡診断が可能になるものと思われた.