日本消化器内視鏡学会雑誌
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Exulceratio simplex(Dieulafoy)と思われた2症例に対する内視鏡下の高張Na-エピネフリン(HS-E)液局注療法について
仲 紘嗣奥山 敬山口 修史小林 多加志升田 和比古犬童 伸行松浦 侯夫河内 秀希平尾 雅紀
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1983 年 25 巻 6 号 p. 925-930_1

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抄録
 Exulceratio simplex (Dieulafoy)と思われた2症例に対して,内視鏡下の高張Na-エピネフリン(以下HS-Eと略す)液局注療法を試み止血・救命することができた.症例1は20年前に胃潰瘍にて胃切除術をうけた72歳の男性で,著明な貧血のため入院した.入院後も吐下血が持続し,3週間目にして残胃体部大攣から新鮮血が噴出するところを観察しHS-E液局注をおこなった.症例2は59歳の男性で吐下血を主訴として入院した.入院中2回の再出血を来たし,6病日目に實薩部前壁に観察された露出血管が出血源と考えられ,HS-E液を局注し止血した.2例とも露出血管の周囲に消化性潰瘍を認めなかったのでexulceratio simplex(Dieulafoy)と診断した. Exulceratio simplex(Dieulafoy)は内視鏡時代でも出血源の確認が困難で,従来から早期の外科治療が止血・救命しうる唯一の手段と考えられている.われわれは本症に対して内視鏡下のHS-E液局注療法を試み止血・救命できたので,本症における内視鏡的治療について考按した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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