日本消化器内視鏡学会雑誌
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腸上皮化生における胃粘液の免疫電気泳動およびムコ物質の電気泳動.II.― Gastric Mucous Barrierの動態―
竹内 功
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1983 年 25 巻 8 号 p. 1188-1205

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抄録

前報のごとく,他の消化管の分泌液の影響を受けていない胃粘液を採取し,免疫電気泳動とムコ物質泳動を行ない,正常から胃癌までの各種胃疾患303例について胃粘液Barrierの動態を検討した. 結果:疾患のいかんをとわずpHが上昇すると,免疫グロブリンの出現頻度は上昇した.空腹時胃液pHと免疫グロブリン出現率との相関係数は0.973であった.しかしSCとpHの間に相関関係はなく,広範囲腸上皮化生と癌に高頻度に見られた.広範囲腸上皮化生では,びら庖,表層性胃炎,胃潰瘍併存の存否によってSCが出没した.ムコ物質泳動ではpHと出現率の間には0 .626の相関係数が得られたが,実験的,統計学的に出血性分画と判定し得た分画をのぞき,病的分画について検討するとSCとことなり,pHとの間に高い相関関係(γ=0.897)を認め,特にピアルロン酸が広範囲腸上皮化生に高頻度陽性であった.急性多発びらんでは,粘膜下組織構成成分であるヘパリンの出現を認めた.

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