日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的膵管口切開術にて摘除した非陽性膵石症の1例
乾 和郎中江 良之中村 二郎加納 潤一佐藤 太一郎加藤 岳人金井 道夫二村 雄次
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1983 年 25 巻 8 号 p. 1246-1253

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抄録

症例は42歳男性で,慢性再発性膵炎による上腹部激痛にて来院し,超音波検査法(US),CT及びERCPにて膵体部に仮性嚢胞を認めた.また腹部単純X線検査及びCTでは石灰化像を認めなかったが,ERCPにて膵頭部主膵管内にfloatingする結石様透亮像を認め,非陽性膵石症と診断した.US,CT及びERCPにて経過観察したところ,仮性嚢胞は約1カ月後に消失した.非陽性膵石に対しては,石灰化と併わせて厳重に経過観察を行なっていたが,1年後再度膵炎発作を起こしたため,膵管内圧の減圧と膵石除去の目的で,Warrenの膵管口切開術ならびにJones & SmithやNardiの膵管口形成術の術式にならない,内視鏡的膵管口切開術を旋行した.通常の内視鏡的乳頭切開術後,膵管口にパピロトームを挿入し,引き切りの形で12°の方向へ切開を行なった.術後X線透視下で,バスケットカテーテルにて膵石を把持し,除去した.合併症もなく,現在経過観察中である.慢性再発性膵炎に伴う非陽性膵石症を経験し,内視鏡的膵管口切開術を施行し,膵石を除去し得たので,若干の文献的考察を加え報告した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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