日本消化器内視鏡学会雑誌
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術前に診断できたIIb型早期胃癌の3症例―特に発見の端緒に関連して―
松本 俊雄松本 温子関根 迪弌高木 国夫加藤 洋
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1983 年 25 巻 8 号 p. 1238-1245_1

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抄録

術前に診断されたIIbの3例を報告し,これと文献にみられる18例の術前診断例の21例,22病変をもとにIIb発見の端緒について検討した.IIbの大部分は内視鏡検査で発見されX線検査による発見例は極めて少い.IIbの内視鏡所見は発赤または褪色が主要な指標で,22病変中発赤は12病変,褪色は7病変,不変3病変であった.発赤は分化型腺癌,褪色は未分化型腺癌に多くみられた.私たちのIIb 4病変は内視鏡直視下観察時に粘膜の色調の異常を認め直ちに生検することにより発見された.直視下に認めた異常な色調の変化の正確な写真上への再現は困難のため直視下観察時の粘膜異常の把握が写真の判読以上にIIb発見の端緒として重要であった.従ってII b発見には,1)内視鏡検査を積極的に行う,2)直視下観察時に粘膜異常の発見につとめ,異常部に対し直ちに生検を行う,更に3)異常部に対して拡大内視鏡や色素内視鏡を用いた2次検査を行う,ことが有用である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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