抄録
われわれは超音波内視鏡で胃壁の5層構造が描出されることをすでに報告した.本論文では,この胃壁の5層構造を基礎的実験をもとに組織学的に解明した.すなわち,第1層の高エコーおよび第2層の低エコーはともに粘膜層で,第3層の高エコーは粘膜下層,第4層の低エコーは筋層,第5層の高エコーは漿膜上皮であることを明らかにした.この結果,超音波内視鏡で胃癌深達度診断が可能となった.さらに,レーザー照射後の胃壁は,超音波内視鏡で高エコー領域として描出されることを基礎的実験にもとずいて明らかにした.また,超音波内視鏡で胃壁の層構造の変化を描出することによってレーザー照射によって光凝固された範囲および深さを確認できることがわかった.この結果,早期胃癌へのレーザー照射後の効果判定にも超音波内視鏡が有用となりうることを指摘した.