日本消化器内視鏡学会雑誌
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上部消化管スクリーニング法としてのパンエンドスコピーの有用性―とくにX線検査と対比して―
小沢 昭司
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1984 年 26 巻 1 号 p. 5-15

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抄録
 胃腸科を標榜する診療所において外来患者を対象として,上部消化管をX線検査によってスクリーニングした群と,細径前方視内視鏡によってスクリーニングした群を対比し,おもに両法の診断能を比較した.両群の受検者はそれぞれ4,568名,5,043名であった.診断能の比較では内視鏡はX線にまさるものと思われた.即ち潰瘍性病変の発見については両法とも大差はなかったがびらんや小隆起などの軽微な病変の発見については内視鏡がすぐれていた.ことに食道癌,早期胃癌の発見には内視鏡検査が極めて有利であった.食道癌については上記の受検者のなかからX線では3例,内視鏡では7例(うち早期癌1例,表在癌1例)が発見された.また発見胃癌に占める早期癌の比率はX線検査群では14.5%,内視鏡検査群では45.3%であった.その他両検査法の副作用,事故,経済性,記録の保管と再現性,手技習熟上の難易などの比較においても,内視鏡検査はX線検査に劣ることはなかった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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