日本消化器内視鏡学会雑誌
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上部消化管スクリーニング法としての内視鏡検査に関する検討
荒井 泰道松本 純一小田島 博下條 宏阿部 毅彦近藤 忠徳
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1984 年 26 巻 1 号 p. 16-24_1

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抄録
 上部消化管のスクリーニング法として1981年1月より1982年3月までの1年3カ月間に1,196例の患者に内視鏡を使用し,良好な成績がえられた.使用した機種はOlympus製GIF-P3,GIF-Q,GIF-QWの3機種であり,病変の拾いあげ能についてX線をスクリーニング法として使用した1980年1年間の1,318例と比較検討した.食道病変,胃病変,十二指腸球部病変のすべてにおいて,内視鏡スクリーニング群がX線スクリーニング群に比較して有意に有病率の増加がみられ,病変の拾いあげ能は内視鏡がX線よりもすぐれていると考えられた.内視鏡スクリーニング群において,検査後アンケート調査を行った.回答者の66.8%は思ったより苦痛が少なかったと答えたが,33.0%は苦痛を訴えた.しかし,内視鏡によるスクリーニング検査が生検も併用することにより精密検査の役割も果たすことから,診断確定までの期間が短縮されたことを評価する声が多く,再度胃の検査が必要な時は,内視鏡検査を受けると85.5%が回答した.また,受診率低下の傾向もみられず,第一線の医療機関において内視鏡を上部消化管のスクリーニング検査に使用することは有用であり,かつ可能であると考え報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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