日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道小細胞型未分化癌の内視鏡診断と化学療法の試み
飯石 浩康竜田 正晴佐野 元哉奥田 茂谷口 健三石黒 信吾
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1984 年 26 巻 10 号 p. 1662-1670_2

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抄録
 食道小細胞型未分化癌は稀な疾患であり,これまでに数10例が報告されているに過ぎない.著者らの施設では,10例を経験しているが,これは全食道癌606例のうちの1.7%に相当する.食道小細胞型未分化癌は60歳台の男性に多く,多くは中部食道に見られた.肉眼的には,2cm以下では粘膜下腫瘤状を呈するが,大きくなると潰瘍形成を伴い,扁平上皮癌との鑑別は困難で,確定診断には生検が必要である.しかし,特に,粘膜下腫瘤型で狙撃生検が難しいため,診断成績は71%にとどまり,吸引細胞診を併用することによって,診断成績の向上が得られた. 食道小細胞型未分化癌の治療に関しては,肺におけると同様,化学療法の有用性が唱えられている.著者らはvincristineとcyclophosphamideとによって食道腫瘍の著明な改善を認めた症例を報告した.副作用もなく,他の治療法との併用などによって,更に良好な治療成績が得られるものと思われる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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