日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸扁平腫瘍の内視鏡診断
長谷川 かをり三神 俊史野口 友義五十嵐 達紀屋代 庫人長廻 紘
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1984 年 26 巻 10 号 p. 1692-1699

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抄録

 大腸の扁平腫瘍(腺腫・早期癌のうち径が高さの2倍以上あり,頂部が全体として平坦なもの)について内視鏡的に検討した. 扁平腫瘍はポリペクトミー症例,手術症例(腺腫・早期癌)の約8%を占め部位では下部大腸に多い. 扁平腫瘍の良悪性別では良性腺腫35病変,m癌9病変,sm癌4病変であり,純粋扁平隆起,中心くびれ型,ポリープ集簇型,中心陥凹型の4つの亜型に分けると,早期癌は中心陥凹型(13病変中m癌4病変,sm癌3病変)に多いことがわかった.ポリープ集簇型には早期癌は1例もなかった. 扁平腫瘍の表面色調を発赤の有無で2群に分けると表面発赤の強いもの9病変は全例早期癌(m癌6病変,sm癌3病変)であった.一方表面発赤のみられないもの39病変の大部分(35病変)は良性腺腫であったが,4病変の早期癌があった. 扁平腫瘍の内視鏡診断で表面の発赤の有無,中心陥凹は重要な所見である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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