日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃梅毒の1例
折居 裕横田 欽一峯本 博正小西 行夫岡村 毅与志並木 正義
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1984 年 26 巻 11 号 p. 1964-1968_1

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抄録
症例は73歳女性.しばしば上腹部痛を自覚していたが,胃集団検診で幽門部に辺縁不整な陥凹性病変を指摘された.内視鏡検査の結果,悪性腫瘍の疑いをもたれ,4カ月間の経過観察中に何度も生検が行われたが悪性所見は得られず,また潰瘍性変化の縮小傾向もないため精査の目的で当科を紹介された.cimetidineを主体とする抗潰瘍薬による治療にも効果がみられないため,入院となった.この時のTPHAテストが強陽性,その他の梅毒血清反応も陽性であった.さらにX線および内視鏡所見において,従来いわれているような特徴的所見を示していたため胃梅毒を疑いBenzyl penicillin procaineによる駆梅療法を行ったところ,速やかに内視鏡所見の著明な改善と自覚症状の消失をみた.この事実もまた胃梅毒と診断するうえに参考となった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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